ワールドマスターズ2015

ワールドマスターズ2015

2015年5月23日から24日の2日間、柔道のワールドマスターズ2015がモロッコのラバトで開催されました。この大会は、前回の2014年が中止となったため、2年ぶりの開催となり、特にモロッコの国王、ムハンマド6世の名が冠されている点が特徴的です。

大会概要

今回の大会には、世界ランキング各階級上位16選手が招待されました。この選手たちは、グランドスラム・バクー2015が終了した後の5月11日付けの世界ランキングに基づいて選出されました。特にアジア選手権やヨーロッパ選手権がグランドスラム・バクー2015の後に行われることから、他の地域との公平性を保つために、2013年の大会ポイントは50%、2014年は100%と算出されています。

また、メダリストにはそのコーチへの賞金も支給されることが決まり、メダルを獲得した選手は従来より少額の賞金を受け取ることになりました。例えば、優勝者は4800ドル、そのコーチには1200ドルが支給される一方、2位は3200ドル、そのコーチには800ドル、3位は1600ドル、そのコーチには400ドルが支給されます。このような新しい方法により、選手だけでなく彼らを支える指導者たちにも報酬が与えられる仕組みが実現しました。

特に注目を集めたのが、100kg超級で優勝したテディ・リネールの表彰式で、モロッコの皇太子がプレゼンターとして登場した点です。

大会結果

今大会では、男女ともに熾烈な戦いが繰り広げられましたが、結果については詳細なメダルの獲得状況が後日発表される予定です。

トラブル

しかし、競技の開催中には緊張をもたらす出来事がありました。モロッコの空港で参加を予定していたイスラエルの選手団が、安全保障上の理由から一時的に拘束され、パスポートが押収されるという事態が発生しました。イスラエル総保安庁からはアラブ諸国への渡航に際し、武装護衛と公共の場でイスラエルに関連する行動を控えるようにとの助言がありましたが、モロッコ当局は護衛の同行を拒否したため、選手団は護衛なしでモロッコに向かいました。最終的には、国際柔道連盟（IJF）の介入により選手団は翌日に解放されました。

また、会場ではパレスチナの旗が掲げられ、イスラエルの選手が登場するたびに激しい野次やブーイングが起こり、極めて不快な状況が生じました。結果的には元世界チャンピオンのヤーデン・ジェルビを含む選手たちはメダルを獲得できず、ジェルビはフェイスブックで政治的な理由で自身の柔道競技が影響を受けたことを非難しました。

ジェルビは、「モロッコでの出来事は恥ずべきもので、我々は単に柔道をしに来たのに、こんな思いをするとは思わなかった」と述べています。この問題は、2010年にモロッコでの他の大会でも類似の問題が起こっていたことから、国際的な関心を呼びました。

結論

ワールドマスターズ2015は、技術や競技そのものの美しさが強調された一方で、政治的な緊張によって選手たちが直面したさまざまな困難も記憶に残るものとなりました。

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