ワールドラグビーパシフィックネイションズカップ

ワールドラグビー パシフィックネーションズカップ（PNC）

ワールドラグビー パシフィックネーションズカップは、ラグビーユニオンにおける環太平洋諸国の国際的な対抗戦です。ワールドラグビーが主催しており、主にティア2と呼ばれる世界ランキング第2グループに属する国々の強化と、世界のラグビーレベル向上を図ることを目的として設立されました。参加国は開催年によって変動がありましたが、近年はフィジー、サモア、トンガといったオセアニアの強豪国に加え、日本、アメリカ、カナダなどが主要参加国となっています。

大会形式とルール

大会形式は歴史の中で度々変更されてきました。設立当初は「IRBパシフィック・ファイブ・ネーションズ」として5チームで始まり、その後オーストラリアA代表やニュージーランドマオリなどの強豪チームが参加した時期もありました。近年は、ラグビーワールドカップ予選を兼ねて開催されたり、プール分けをしてクロスプール方式で対戦したりと、様々な形式が試されています。

特に2024年大会ではフォーマットが大幅に刷新されました。日本、カナダ、アメリカ、フィジー、サモア、トンガの計6か国が参加し、まず3か国ずつの2つのプール（AとB）に分かれてプール戦を行います。各チームはプール内の他の2チームとそれぞれ1試合ずつ（ホーム1試合、アウェー1試合）対戦し、プール内順位を決定します。プール戦の勝ち点制度は、勝利4、引き分け2、敗戦0に加え、ボーナスポイントとして「4トライ以上獲得」と「7点差以内で敗戦」にそれぞれ1ポイントが与えられます。

プール戦の後にはファイナルシリーズ（決勝トーナメント）が開催されます。各プールの上位2チームによる準決勝、そして決勝と3位決定戦が行われ、最終順位が決まります。また、プール最下位のチーム同士で5位決定戦も行われます。このファイナルシリーズの開催地は、2024年から日本とアメリカ合衆国が毎年交互に務めることになり、2024年大会は日本で開催されました。

歴史と変遷

本大会は2006年に「IRBパシフィック・ファイブ・ネーションズ」として第1回が開催されました。当初はオーストラリアA代表も参加する構想でしたが、実際には5チームでのスタートとなりました。2007年にはオーストラリアAが加わり「IRBパシフィックネーションズカップ」と改称。その後、ジュニア・オールブラックスやニュージーランドマオリの参加を経て、2013年からはカナダとアメリカが加わるなど、参加チームは変化してきました。

国際ラグビー評議会（IRB）が2014年にワールドラグビー（WR）へ名称を変更したことに伴い、大会名も2015年から「ワールドラグビー パシフィックネーションズカップ」となりました。

開催地も柔軟に変更されており、特定の国での集中開催（例：2009年フィジー、2010年サモア、2012年日本、2022年フィジー）や、東日本大震災の影響で急遽開催地が変更された2011年の事例などがあります。また、ラグビーワールドカップのオセアニア地区予選を兼ねて開催された時期（2016年、2017年）もありました。2020年と2021年は新型コロナウイルス感染症の世界的流行により開催が見送られました。

名称とスポンサー

大会の日本語表記には表記ゆれが見られましたが、近年は日本ラグビーフットボール協会において「パシフィックネーションズ」という表記が主に用いられています。

また、大会には冠スポンサーが付くことがあり、その都度大会名称が変わります。初期には日本国内開催試合で東芝がスポンサーとなり「IRBパシフィック・ネーションズカップ TOSHIBAジャパンラウンド」として開催されました。2010年大会はオーストラリア・ニュージーランド銀行（ANZ）が冠スポンサーとなり「ANZパシフィック・ネーションズカップ」と称されました。近年では、2023年の日本代表のホームゲームが国内向けに大正製薬の協賛を得て「リポビタンDチャレンジカップ2023 パシフィックネーションズシリーズ」として行われました。

そして、2024年大会ではアサヒビール株式会社が全世界向けのタイトルスポンサーとなり、正式大会名は「アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ 2024（Asahi Super Dry Pacific Nations Cup 2024）」となりました。これは、本大会が国際的に認知されている証とも言えます。

2024年大会では、刷新された形式の下、日本代表はプールBを勝ち上がり決勝に進出しましたが、フィジー代表に敗れ準優勝となりました。この大会は、参加国にとってワールドカップサイクルにおける重要な強化の機会となっています。

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