ヴァフタング1世

ヴァフタング1世・ゴルガサリ

ヴァフタング1世・ゴルガサリ（グルジア語: ვახტანგ I გორგასალი）は、439年頃から502年頃まで生きた、イベリア王国の第32代王です。彼はイベリア（現在のサカルトヴェロ地方）の王として、サーサーン朝との対立や東ローマ帝国との同盟関係など、波乱に富んだ治世を送りました。

サーサーン朝との関係

ヴァフタング1世は、東ローマ帝国とも密接な関係を築きましたが、サーサーン朝との戦争においては、何度も困難に直面しました。彼は初めのうちはペルシアに従属していましたが、押し寄せる侵略者たちに立ち向かう中で、次第に強い軍事的・政治的リーダーシップを発揮するようになります。その結果、サーサーン朝への反抗を決意し、ペルシア王女との結婚後にその関係を解消するに至りました。

ヴァフタングは482年、彼の側近を処刑したことでサーサーン朝の怒りを買い、反抗の道を歩むことになります。彼はアルメニア王子やフン人と同盟を組み、サーサーン朝との戦争を指導することになりました。483年と484年には、サーサーン朝がイベリア王国への侵攻を行いましたが、ヴァフタングが勝利を収めることに成功しました。

トビリシの創設

彼の最も重要な功績の一つは、現在のトビリシを創設したことです。ヴァフタングはある狩りの日、温泉がある場所を発見し、その地を王都として定め、「トビリシ」と名付けました。この名は「温かい場所」を意味し、彼の選択は後のジョージアの歴史に深く刻まれました。ヴァフタング1世の息子、ダチの時代にはこの地が正式にイベリア王国の首都となりました。

王の死亡

ヴァフタング1世の晩年は困難の連続でした。サーサーン朝との対立が続き、60歳を過ぎても戦争や亡命を余儀なくされました。歴史の記録によれば、彼は裏切り者によって致命的な傷を負い、ウジャルマ要塞で亡くなったと伝えられています。彼の遺体はスヴェチツクホヴェリ大聖堂に埋葬されました。

家族と遺言

ヴァフタング1世には3人の子供がいました。最初の妻、ペルシア王女との間に長男のダチ、後に再婚したローマ人女性との間にレオンとミフルダトをもうけました。彼の遺言には、息子に対して東ローマ帝国との連携を重視するよう訴えた内容が含まれていると言われています。

後世の評価

中世以降、ヴァフタング1世はジョージアの歴史において英雄的な存在として名前を刻まれました。彼を讃える多くの伝説や文化的遺産が存在し、トビリシの街には彼にちなんだ通りや広場があります。さらに、ヴァフタング1世を象徴する像がトビリシに設置されており、彼の名は現在でも多くの人々に知られています。また、彼は20ラリ紙幣に描かれるなど、ジョージア文化の一部となっています。ヴァフタング・ゴルガサリ勲章が制定されるなど、現代においても彼の影響は色濃く残っています。

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