ヴァル・ヴァレンチノ

ヴァル・ヴァレンチノ（Val Valentino、本名：レオナード・モンタナ、1956年6月14日生まれ）は、アメリカのマジシャンであり、特にフォックス放送の番組『破られたマジシャンの掟！(Breaking the Magician's Code)』でマスクマジシャンとして登場したことで広く知られています。

生い立ちと初期の活動

1956年にカリフォルニア州ロサンゼルスで生まれたヴァレンチノは、幼少期からマジックに親しんでいました。5歳の時に父親から教わった「ボールと花瓶」のマジックが、彼が初めて行ったマジックでした。10代の頃には、「国際文化的意識プログラム」という大規模な学生向けイベントでマジックを披露し、その中には、マジックのタネを明かすことで、次世代のマジシャンを育成する意図を持ったものも含まれていました。

1980年代後半から1990年代半ばにかけて、ヴァレンチノは活動の拠点をラスベガスに移し、「Viva Las Vegas」や「Splash」といったカジノショーでパフォーマンスを行いました。また、ハーブ・アルパートのミュージックビデオにも出演するなど、多岐にわたる活動を展開しました。

マスクマジシャンとしての登場と論争

1997年から1998年にかけて、ヴァレンチノはフォックス放送の特別番組『破られたマジシャンの掟！』に、マスクマジシャンとして出演しました。彼は、長年マジックの世界で守られてきた「マジシャンの掟」を破り、数々のマジックのトリックを暴露しました。この番組は大きな話題を呼び、1990年代後半にはイギリスのITV、2009年にはITV4でも同様の暴露番組が放送されました。

フォックス放送からのオファーを受けた際、ヴァレンチノは当初、古いマジックのタネのみを明かすことで合意しました。しかし、番組では、より新しいマジックのトリックも暴露され、多くのマジシャンから強い反発を受けました。マジック界は、この暴露行為がマジックの神秘性を損なうと危惧し、大きな論争が巻き起こりました。番組の4回目には、ヴァレンチノは覆面を外し、自らの正体を明かしました。彼は、マジックのトリックを明かす理由は、子供たちにマジックに興味を持ってもらいたいからだと語り、マジックの真髄はトリックではなく、それを演じるパフォーマーの技術にあると強調しました。なお、2002年に放送されたシリーズ5回目には、別の人物がマスクマジシャンとして出演しました。

アメリカショービジネス界からの追放とその後

『破られたマジシャンの掟！』での行動に危機感を覚えたアメリカのマジック界は、1998年5月18日に「WAM（World Alliance of Magicians）」を設立し、マジックの保護に乗り出しました。彼らはフォックス放送に抗議し、ヴァレンチノが4回目の放送で正体を明かすことにつながりました。ヴァレンチノは、アメリカのショービジネス界から事実上の追放処分を受け、その後ブラジルで活動を始めましたが、すぐにブラジルからも追放されてしまいました。

日本におけるヴァル・ヴァレンチノ

日本では、日本テレビ系列の番組『信ジラレナイ99連発』で、『破られたマジシャンの掟！』の一部が紹介され、ヴァレンチノの知名度が向上しました。2001年には、ヴァレンチノ自身が来日し、日本テレビが制作したマジック暴露番組にマスクマジシャンとして出演しました。アメリカでは既に正体が明かされていましたが、日本では依然として謎のマジシャンという扱いでした。番組内でヴァレンチノは、マジックのトリックを明かす理由を、古いマジックが淘汰されることでマジックが進化するためだと説明しました。この番組には、プリンセス天功やナポレオンズも出演しました。また、TBS系列の番組『R30』にも登場しています。

もう一度検索