ヴァレリアン千の惑星の救世主

「ヴァレリアン千の惑星の救世主」（原題: Valérian et la Cité des mille planètes）は、2017年に公開されたSFアクション映画で、フランスの漫画シリーズ「ヴァレリアンとローレリーヌ」を原作としています。リュック・ベッソンが監督、製作、脚本を担当し、日本では2018年 3月30日に公開されました。この作品は、未来の宇宙を舞台にした壮大なストーリーと、高度な視覚効果が話題となりました。

あらすじ

物語の舞台は、西暦2740年の未来です。国際宇宙ステーションは様々な種族が暮らす「アルファ宇宙ステーション」として膨張し続けていますが、地球にとって危険な状況となります。このステーションは宇宙へと射出され、一千以上の異星人が集まり、多様な文化が共存しています。

捜査官ヴァレリアンとその相棒ローレリーヌは、新たな任務で惑星キリアンに向かいます。しかし、途中でヴァレリアンは夢の中で、あるヒューマノイド種族が宇宙船の墜落によって滅亡する光景を目撃します。困難な状況の中で、ヴァレリアンはローレリーヌに求婚するも断られ、二人の関係に亀裂が生じます。

キリアンに到着した二人は、夢に現れた小型生物の形をしたコンバーターとパールを手に入れるため、異次元のバザールに潜入します。しかし、その後の帰路でヴァレリアンは夢で見たヒューマノイドを追跡中、行方不明になってしまいます。ローレリーヌは彼を探している最中、原始的な種族に捕らえられ、ヴァレリアンと協力したバブルの助けを借りて、彼女を救出します。

彼らは汚染された区域でヒューマノイドたちと対峙し、皇帝からミュールの滅亡の背景を聞かされます。宇宙連邦の司令官フィリットが引き起こした出来事が、ヒューマノイドの生存者たちの運命を決定づけたと知ったヴァレリアンとローレリーヌは、自らの使命を果たすために、パールとコンバーターをヒューマノイド側に返却します。

最終的に、宇宙戦争が勃発し、真実が明らかになる中で、フィリットは逮捕され、ヴァレリアンとローレリーヌは宇宙で救助を待つことになります。この物語は、友情、愛、冒険、そして人類と異星人との関係を描いた、視覚的に緻密な作品です。

キャスト

- ヴァレリアン少佐: デイン・デハーン（日本語吹替: 日野聡）
- ローレリーヌ軍曹: カーラ・デルヴィーニュ（日本語吹替: 沢城みゆき）
- アルン・フィリット司令官: クライヴ・オーウェン（日本語吹替: 大塚明夫）
- バブル: リアーナ（日本語吹替: ゆりやんレトリィバァ）
- 客引きジョリー: イーサン・ホーク（日本語吹替: 咲野俊介）
- ネザ軍曹: クリス・ウー（日本語吹替: 石川界人）
- オクト＝バー将軍: サム・スプルエル（日本語吹替: 関俊彦）
- 海賊ボブ: アラン・シャバ

制作の背景

リュック・ベッソンは、青年期から「ヴァレリアン」シリーズを愛読しており、映画化の構想は『フィフス・エレメント』の制作中に持ち上がりました。しかし当初は技術面での実現可能性に懐疑的でした。『アバター』の成功を受け、技術的に可能な範囲が広がり、深い物語作りに取り掛かりました。制作費は1億9700万ユーロとフランス映画史上最高額となりました。

公開と興行

映画は2017年7月に全米で公開されましたが、初週の興行成績は期待を下回りました。一方、フランスでは好調な興行収入を記録しましたが、全体的には大きな損失を計上する結果となり、製作元のCEOに辞任の事態が発生しました。

批評と評価

視覚効果や技術に関する評価は高い一方で、ストーリーやキャスティングには否定的な意見が多く、Rotten Tomatoesでは批評家支持率50%を記録しています。視覚的な冒険とともに感じられる人間ドラマが評価されていますが、ストーリーの弱さ指摘も受けています。

本作は観るものに新たな宇宙の魅力を提供しつつ、それぞれのキャラクターの成長と選択の影響を考えさせる作品です。

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