ヴァレンティア子爵

ヴァレンティア子爵

ヴァレンティア子爵（Viscount Valentia）は、アイルランド貴族に与えられた子爵位の一つです。その歴史は複雑で、複数の家系や爵位との関係が絡み合っています。

歴史

創設とアンズリー家の継承

最初にヴァレンティア子爵に叙されたのはヘンリー・パワーでしたが、彼には相続人がいなかったため、1622年にフランシス・アンズリーが「将来的な付与権」を与えられました。1642年にパワーが亡くなると、フランシスがヴァレンティア子爵を継承しました。フランシス・アンズリーは、アイルランド議会やイングランド議会で庶民院議員を務めた政治家であり、1620年には準男爵、1628年にはマウントノリス男爵にも叙されています。

アングルシー伯爵位との関係

初代子爵の息子であるアーサー・アンズリーは、清教徒革命から王政復古期にかけて活躍した政治家でした。彼は1660年に爵位を継承し、翌年にはアングルシー伯爵に叙せられました。これにより、ヴァレンティア子爵位はアングルシー伯爵位と密接な関係を持つことになります。

爵位の分離とマウントノリス伯爵

6代アングルシー伯・7代ヴァレンティア子爵リチャード・アンズリーは、重婚にあたる結婚をしました。その結果、生まれた息子アーサーの爵位継承資格が問題となりました。アイルランドの裁判所や貴族院は継承を認めましたが、グレートブリテン議会の貴族院はこれを認めませんでした。これにより、アングルシー伯爵などのイングランド称号は廃絶し、ヴァレンティア子爵などのアイルランド称号はアーサーが継承することになりました。アーサーはその後、マウントノリス伯爵に叙せられました。

マウントノリス伯爵の廃絶とヴァレンティア子爵の存続

2代マウントノリス伯・9代ヴァレンティア子爵ジョージ・アンズリーが亡くなった際、男子相続人がいなかったため、マウントノリス伯爵位は廃絶しました。しかし、ヴァレンティア子爵位は初代子爵に遡っての分流によって継承され、現在まで存続しています。

現代

2018年現在の当主は、16代ヴァレンティア子爵フランシス・ウィリアム・ディグトン・アンズリーです。

現当主の保有爵位

フランシス・アンズリーは以下の爵位を保有しています。

第16代ヴァレンティア子爵
第16代マウントノリス男爵
(マウントノリスの)第16代準男爵

歴代当主

ヴァレンティア子爵の歴代当主は以下の通りです。

ヴァレンティア子爵 第1期 (1621年)

初代ヴァレンティア子爵ヘンリー・パワー

ヴァレンティア子爵 第2期 (1622年)

初代ヴァレンティア子爵フランシス・アンズリー
2代ヴァレンティア子爵アーサー・アンズリー

アングルシー伯 (1661年)

初代アングルシー伯/2代ヴァレンティア子爵アーサー・アンズリー
2代アングルシー伯/3代ヴァレンティア子爵ジェイムズ・アンズリー
3代アングルシー伯/4代ヴァレンティア子爵ジェイムズ・アンズリー
4代アングルシー伯/5代ヴァレンティア子爵ジョン・アンズリー
5代アングルシー伯/6代ヴァレンティア子爵アーサー・アンズリー
6代アングルシー伯/7代ヴァレンティア子爵リチャード・アンズリー

ヴァレンティア子爵 第2期 (1622年)

8代ヴァレンティア子爵アーサー・アンズリー

マウントノリス伯 (1793年)

初代マウントノリス伯/8代ヴァレンティア子爵アーサー・アンズリー
2代マウントノリス伯/9代ヴァレンティア子爵ジョージ・アンズリー

ヴァレンティア子爵 第2期 (1622年)

10代ヴァレンティア子爵アーサー・アンズリー
11代ヴァレンティア子爵アーサー・アンズリー
12代ヴァレンティア子爵キャリル・アーサー・アンズリー
13代ヴァレンティア子爵ウィリアム・モンクトン・アンズリー
14代ヴァレンティア子爵フランシス・ディグトン・アンズリー
15代ヴァレンティア子爵リチャード・ジョン・ディグトン・アンズリー
16代ヴァレンティア子爵フランシス・ウィリアム・ディグトン・アンズリー

推定相続人は、現当主の弟ピーター・ジョン・アンズリーであり、その法定推定相続人はウィリアム・レスター・ディグトン・アンズリーです。

関連項目

アルサム男爵
アングルシー伯爵
* アンズリー伯爵

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