ヴァレンティーノ・ブッキ国際作曲コンクール

ヴァレンティーノ・ブッキ国際作曲コンクール（イタリア語: Concorso Internazionale di Composizione "Premio Valentino Bucchi"）は、イタリアの著名な作曲家であるヴァレンティーノ・ブッキの功績を記念し、彼の名を冠して設立された国際音楽コンクールの一部門です。この名称は、「国際作曲コンクール『ヴァレンティーノ・ブッキ賞』」と直訳することもできます。

コンクールは、ヴァレンティーノ・ブッキの死去に伴い発足したヴァレンティーノ・ブッキ財団によって運営されており、その最大の目的は、同時代に活躍する音楽家、特に作曲家たちの活動を奨励し、支援することにあります。設立当初は作曲部門だけでなく、演奏部門も併催される総合的な音楽コンクールとして運営されていました。

歴史を通じて、コンクールの実施形式にはいくつかの変遷が見られます。かつては、より多くのカテゴリーが設けられ、それぞれに小額ながら賞金が与えられ、一度に10人以上の受賞者を選出していた時期もありました。しかし、現在は優勝者と数名の佳作入選者を選出する形式へと集約されています。審査体制についても、2010年度までは10人を超える審査員による採点、審査委員長の再選を行わないなどの特徴的なルールがありました。また、コンクールの要綱は、かつては実名で請求したコンテスタントのみに支給され、全イタリアの音楽学校に配布されるという独特の方法が取られていましたが、2011年度からは要綱の改定が行われ、ウェブサイト上での公開が開始されるなど、よりオープンな形式へと変化しました。

このコンクールからは、国際的に活躍する多くの作曲家が輩出されています。最年少での優勝を果たしたマウロ・ランツァ（Mauro Lanza）はその代表的な例です。また、日本からも多数の作曲家がこのコンクールで顕著な成績を収めており、国際的な舞台での活躍の足がかりとしてきました。これまでに優勝や入賞を果たした日本人作曲家には、岡谷かおり、久田典子、権代敦彦、田村文生、細川俊夫（1980年）、森田泰之進（2002年、2009年）、土屋雄、小坂咲子（2001年）、日野原英彦（1993年）、徳山美奈子（1990年）、河島昌史、藤原豊、永田孝信、秋田和久、小泉香（2012年）、山本哲也、折笠敏之、茂木宏文といった方々が名を連ねています。

ヴァレンティーノ・ブッキ国際音楽コンクールは、2022年度以降も作曲部門の活動を継続しており、現代音楽の重要な振興拠点としての役割を果たしています。一方で、かつて併催されていた演奏部門は現在休会となっています。イタリア、そして世界の現代音楽界において、ヴァレンティーノ・ブッキ国際作曲コンクールは、今後も重要な位置を占め続けるでしょう。

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