ヴァンクール熊本FC

ヴァンクール熊本FCの歴史

ヴァンクール熊本FC（Vainqueur Kumamoto FC）は、熊本市に拠点を置いた日本の社会人サッカークラブで、2010年3月14日に活動を終了します。その歴史は、1973年に設立された鶴屋百貨店サッカー部に遡ります。このチームは九州サッカーリーグが創設される際、設立時のメンバーのひとつでした。

鶴屋百貨店サッカー部

鶴屋百貨店サッカー部は、1969年と1978年に全国社会人サッカー選手権大会に出場した熊本県内の名門チームでありましたが、九州リーグには1973年に参加した後、翌年には脱退しました。その後も県リーグで活動を続けるものの、熊本県リーグ1部で1980年の優勝以降は、他の強豪チームに押される形で目立った成績を残すことはできませんでした。2004年には熊本県2部リーグから降格の憂き目に遭いました。

ロッソ熊本の影響

2005年、九州リーグに所属していたアルエット熊本（元：NTT西日本熊本サッカー部）がJリーグ進出を目指す中、大規模な人事刷新が行われ、ヴァンクール熊本FCは新たなチームとして生まれ変わります。この機会に、当時の鶴屋百貨店サッカー部の選手であった榊孝一を中心に、元アルエットの選手を受け入れることとなりました。この新たな構成により、クラブの体制が整えられ、2005年の熊本県地域リーグでは9試合104得点無失点で全勝を飾りました。

成功と昇格

2006年には県地域リーグ決勝トーナメントも制し、2部リーグへ昇格します。同年、クラブ名が「ヴァンクール熊本」に変更され、「勝利者」を意味するフランス語の名称にちなんで名付けられました。その後、2部リーグでの優勝を経て、2007年には1部リーグにも昇格し、3カテゴリー連続での優勝を達成しました。非常に短期間での成功でした。

2008年には、九州各県リーグ決勝大会に参加し、準優勝に輝きます。この結果が九州リーグへの昇格につながり、ヴァンクールとして初の昇格を果たします。しかし、昇格後はリーグ戦での厳しい戦いが待ち受けていました。

苦境と解散

初の九州リーグ挑戦に伴い、チームは予想以上の難局に直面します。開幕戦ではホンダロックに対して12失点を喫するなど、大量失点が続きました。また、選手の仕事との両立による練習不足と人手不足が影響し、試合には本職のGKが不在になる事態もありました。そういった中でも、下位チームからは勝利を重ねて残留を果たしましたが、状況は厳しく、2009年は更なる選手不足に苦しみます。

2010年には、クラブの公式ブログでチームの解散が発表されました。解散の主な理由は、選手全員が集まる時間が確保できないことと、多くの支援が受けられないことでした。これにより、活動の継続が困難となったのです。ヴァンクール熊本FCは、その短い活動期間にもかかわらず、印象深い歴史を刻んだチームとして多くのサッカーファンに記憶されています。

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