ヴィエリチカ岩塩坑

ポーランドのマウォポルスカ県に位置するヴィエリチカ岩塩坑は、13世紀から採掘が行われていた岩塩坑です。1996年に商業採掘は中止されましたが、その歴史的価値と美しい景観から、現在は観光地として多くの人々を魅了しています。

歴史

ヴィエリチカ岩塩坑は、1044年に創業され、1250年に国営企業となりました。廃坑になっていない岩塩坑としては世界最古であり、世界最古の製塩企業でもあります。地下327mまで続く坑道は、全長300km以上に及びます。

岩塩の芸術

観光客向けに公開されている3.5kmの坑道には、歴史や神話をモチーフにした彫像が数多く展示されています。これらはすべて、坑夫たちが信仰のために岩塩を彫り上げたものです。また、岩塩でできた部屋や礼拝堂、岩塩採掘の歴史を紹介する展示など、見どころが満載です。坑内はまるで岩塩でできた地下大聖堂のような、幻想的な雰囲気に包まれています。

世界遺産

ヴィエリチカ岩塩坑は、1978年にユネスコの世界遺産に登録されました。これは、最初に登録された12件のうちの一つです。登録基準は、人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例であること、です。ヴィエリチカ岩塩坑とボフニャ王立岩塩坑は、13世紀から20世紀にかけてのヨーロッパにおける採鉱技術の発展を物語る貴重な遺産です。

危機遺産からの脱却

1989年、ヴィエリチカ岩塩坑は換気装置の問題から坑内の湿度が高まり、岩塩製のモニュメントが損傷する恐れがあったため、危機遺産リストに加えられました。しかし、その後適切な換気装置が設置され、坑内の湿度が管理されるようになったことから、1998年に危機遺産リストから除外されました。

著名な訪問者たち

ヴィエリチカ岩塩坑には、ニコラウス・コペルニクス、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ、アレクサンダー・フォン・フンボルト、ドミトリ・メンデレーエフ、イグナツィ・パデレフスキ、ロバート・ベーデン＝パウエル、カロル・ヴォイティワ（後のヨハネ・パウロ2世）、ビル・クリントンなど、多くの著名人が訪れています。

第二次世界大戦中の利用

第二次世界大戦中、ドイツ軍はこの岩塩坑を占領し、一部を軍需物資の製造拠点として使用しました。

ヴィエリチカ岩塩坑は、その長い歴史と美しい景観から、世界中の人々を魅了し続けています。ポーランドを訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

参考文献

公式サイト
Jerzy Grzesiowski, Wieliczka: kopalnia, muzeum, zamek (Wieliczka: the Mine, the Museum, the Castle), 2nd ed., updated and augmented, Warsaw, Sport i Turystyka, 1987, ISBN 83-217-2637-2.
Christopher Kasparek, "Prus' Pharaoh and the Wieliczka Salt Mine," The Polish Review, 1997, no. 3, pp. 349-55.
『世界遺産年報2007』日本ユネスコ協会連盟、2006年

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