ヴィットストックの戦い

ヴィットストックの戦い

ヴィットストックの戦い（1636年10月4日）は、三十年戦争後期におけるフランス・スウェーデン戦争の重要な戦闘でした。この戦いでは、スウェーデン軍が神聖ローマ帝国軍に対して勝利を収め、スウェーデンの反撃のきっかけとなりました。戦闘前、スウェーデンはネルトリンゲンの戦いでの敗北やプラハ条約による困難な状況にありましたが、この戦いでの勝利がその後の戦局に大きな影響を与えました。

戦背景

1634年のネルトリンゲンの戦いでの敗北により、スウェーデンは厳しい状況に置かれていました。また、同年のプラハ条約によって、プロテスタント連盟の盟主としてのスウェーデンの立場も脅かされました。この時期、スウェーデンの重要な拠点はポンメルンだけであり、ここを守ることが三十年戦争におけるスウェーデンの運命を決定づけると考えられていました。

スウェーデン軍の総司令官であるバネル将軍は、ポンメルンを死守するためにエルベ川沿岸のヴィットストックに陣を敷きました。一方、神聖ローマ皇帝はポンメルン奪取を狙い、ザクセン軍を引き連れてスウェーデン軍を撃破するためにヴィットストックに軍を進めました。

戦闘の経過

ヴィットストックの戦いには、皇帝軍が25,000の兵力を持ち、ハッツフェルト将軍が指揮を執りました。スウェーデン軍は、バネル将軍とトルステンソン将軍の指導のもと、18,000の兵力で対抗しました。皇帝軍は平原を突っ切ってスウェーデン軍に襲いかかる計画でしたが、バネル将軍は大胆な戦術を採用し、軍を二手に分けて側面防御を行いました。

戦闘初期には、スウェーデン軍は皇帝軍の圧倒的な攻撃に晒され、困難な状況に立たされました。しかし、スウェーデン本軍の囮作戦が功を奏し、皇帝軍は予想外の攻撃に釘付けになりました。別働隊が11キロ迂回して側面から攻撃を仕掛けた結果、皇帝軍は大きな損害を受け、最終的には大敗を喫しました。

戦闘の影響

この戦闘の規模はそれほど大きくはなかったものの、スウェーデンにとっては心理的な意義が計り知れないものでした。スウェーデン宰相オクセンシェルナはこの勝利を背景に本国へ帰還し、国内の引き締めや、スウェーデン軍の支援、フランスとの連携強化に成功しました。反対に、神聖ローマ帝国はこの敗北の後、フランス・スウェーデン戦争において守勢に立たされることとなり、戦局は不利に推移していきます。

この戦いは、反ハプスブルク同盟の反撃を呼び起こし、三十年戦争における決定的な転機となりました。スウェーデンの勝利は、その後の戦局において重要な位置を占めることとなり、スウェーデン軍の自信を高める結果をもたらしました。

もう一度検索