ヴィドー家

ヴィドー家：イタリアを揺るがしたブルグント貴族の系譜

ヴィドー家（Widonides, Guidoni, Guidonen, Guideschi, Guidoni, Vitone, Widonids）は、9世紀頃にイタリアで台頭した名門貴族家系です。ブルグント地方を起源とし、様々な呼び名で知られています。その勢力と影響力は、イタリアの歴史、ひいてはヨーロッパの歴史に大きな足跡を残しました。本稿では、ヴィドー家の歴史、主要人物、そして関連する家系との複雑な関係について詳述します。

モーゼル川流域からイタリアへ

ヴィドー家の起源は、7～8世紀のモーゼル川流域に遡ります。アウストラシア地方を拠点とし、ナント伯やブルターニュ辺境伯といった重要な地位を歴任したギーを始祖とする説が有力です。このギーを祖とする家系は、9世紀初頭にイタリアへと進出しました。その後、840年代にはスポレートを掌握し、スポレート公の地位を獲得します。

教皇との対立とカロリング家との繋がり

イタリアにおけるヴィドー家は、教皇領内で急速に勢力を拡大しました。皇帝には忠実な姿勢を示す一方で、教皇とはしばしば対立関係にありました。興味深いことに、ヴィドー家は女系を通してカロリング家と繋がっており、この繋がりを通じてイタリア王、そしてローマ皇帝をも輩出することになります。こうした複雑な政治状況の中、ヴィドー家は巧みに権力闘争を展開していきました。

スポレート公とイタリア王

842年、グイード1世は皇帝ロタール1世によってスポレート公に任じられます。彼はイタリアでの活動を精力的に行い、ベネヴェント公シコーネ1世の娘イッタと結婚しました。グイード1世の後裔は、897年までスポレート公の地位を維持しました。なかでもグイード4世は、ベネヴェント公位も兼任したことで知られます。しかし、ヴィドー家における最も重要な人物は、グイード3世とその息子ランベルト2世でしょう。彼らは、イタリア王、そしてローマ皇帝の座にまで上り詰めたのです。彼らの治世は、イタリア半島の政治情勢に大きな影響を与えました。

アンジュー伯とザーリアー家との関連

ヴィドー家の影響は、イタリアにとどまりませんでした。898年、アンジュー伯フルク1世赤顔伯は、ヴィドー家の子孫であるロッシラと結婚し、アンジュー伯領を獲得したとされます。さらに、後に神聖ローマ皇帝となるザーリアー家は、モーゼル川流域に残ったヴィドー家の子孫であるとする説も存在します。これらの繋がりは、ヴィドー家の広範囲にわたる影響力を示すものです。

結論

ヴィドー家は、ブルグント地方を起源とする一族ながら、イタリアにおいて大きな影響力を持つに至った、歴史的に重要な家系です。スポレート公、イタリア王、ローマ皇帝といった重要な地位を歴任しただけでなく、アンジュー伯やザーリアー家といった有力家系とも複雑に繋がっています。彼らの歴史は、中世イタリアの政治、そしてヨーロッパの政治史を理解する上で欠かせない要素といえるでしょう。今後の研究において、さらに詳細な系譜や活動の解明が期待されます。

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