ヴィラット・コーリ

インド出身のプロクリケット選手、ヴィラット・コーリ（Virat Kohli）は、1988年 11月5日にデリーで生まれました。右投右打のバッター兼フィールダーとして、クリケット史上、さらにはスポーツ界全体を見ても最高の選手の一人として広く認められています。現在はインディアン・プレミアリーグ（IPL）のロイヤル・チャレンジャーズ・バンガロールに所属し、「キング・コーリ」の愛称でファンに親しまれています。彼の妻は、著名なボリウッド女優であるアヌシュカ・シャルマです。

コーリのキャリアは、国際舞台と国内リーグの両方で目覚ましい成功を収めています。インド代表の元主将として、ODIワールドカップ（2011年）、ICCチャンピオンズトロフィー（2013年）、そしてICC男子T20ワールドカップ（2024年）といった主要な国際大会での優勝に貢献しました。特に、ワン・デイ・インターナショナル（ODI）形式においては、前人未踏となる通算50回のセンチュリー（1イニングで100得点以上）を達成し、これはギネス世界記録にも認定されています。これは、長らく「クリケットの神様」と呼ばれたサチン・テンドルカール氏の記録を塗り替える偉業でした。国際試合全体でのセンチュリー達成数は80回に達し（2024年9月時点）、これもテンドルカール氏に次ぐ歴代2位の記録です。また、IPLでは、2024年シーズン終了時点で歴代最多となる通算8004得点を記録し、リーグ史上最も成功したバッターの一人としての地位を確立しています。

彼の記録更新のスピードも特筆に値します。ODI形式での通算1万得点、国際試合での通算2万得点などを、史上最少イニング数で達成し、次々と新たな金字塔を打ち立ててきました。個人タイトルも数多く受賞しており、国際クリケット評議会（ICC）からは、2011年から2020年までの「10年間世界最優秀選手賞」を受賞。年間世界最優秀選手に贈られるサー・ガーフィールド・ソバーズ・トロフィーも2度（2017年、2018年）獲得しています。インド政府からも、アルジュナ賞、パドマ・シュリー勲章、ラジーヴ・ガンディー・ケール・ラトナ賞といった国の栄典を授与されています。

経済的な側面でも、コーリは驚異的な影響力を持ちます。2024年時点で推定年収は約144億円と報じられるなど、スポーツ界でも有数の高収入選手です。2023年にはインドで最もブランド価値の高い著名人に選ばれ、その価値は約342億円と評価されました。ソーシャルメディアでの影響力も絶大で、Instagramのフォロワー数はアジア出身者で最多の2億7000万人を超え（2024年時点）、世界のスポーツ選手ではクリスティアーノ・ロナウド、リオネル・メッシに次ぐ第3位となっています。その影響力から、2018年にはタイム誌の「世界で最も影響力のある100人」にも選出されるなど、スポーツ界を超えた存在となっています。

幼少期からクリケットに情熱を燃やし、ウェストデリー・クリケット・アカデミーでその才能を磨きました。早くから年代別代表で頭角を現し、2008年にはU-19インド代表キャプテンとしてワールドカップ優勝に貢献しました。同年にはトップチームであるインド代表としてODIデビューを果たしています。彼のプレースタイルは、高い技術力と攻撃的な姿勢が特徴です。主に3番打者としてチームを牽引し、プレッシャーのかかる状況でこそ真価を発揮する能力に長けています。バッティングでは正確なカバードライブを得意とし、かつて「クリケットの神様」と呼ばれたサチン・テンドルカール氏と比較されることも多く、そのプレースタイルや考え方を模範としてきました。ヴィヴ・リチャーズ氏やブライアン・ララ氏といった往年のレジェンドたちも、コーリの才能と実績を高く評価しています。

慈善活動にも熱心で、2013年に「ヴィラット・コーリ財団」を設立。インドの若手アスリート育成支援や、恵まれない子供たちへの支援、さらには動物保護活動にも取り組んでいます。また、サッカーへの情熱も持ち、インディアン・スーパーリーグのFCゴアの共同オーナーも務めています。

プライベートでは、定期的な運動と栄養管理を徹底しており、世界で最もフィットなクリケット選手の一人として知られています。食の好みでは、日本料理、特に寿司を好むことが知られています。高級車や希少な腕時計のコレクターとしても知られ、そのライフスタイルは多くのファンにとって憧れの対象となっています。2023年のワールドカップ期間中、故郷デリーの市場を自由に歩き回る日々を懐かしむエピソードは、絶大な名声を得た彼の一面を垣間見せました。

クリケット界におけるコーリの功績は計り知れず、数々の記録を樹立し、多くの人々にインスピレーションを与え続けています。その卓越したパフォーマンス、カリスマ性、そしてスポーツマンシップは、彼を現代クリケットのアイコンたらしめています。

主な個人記録・受賞歴（抜粋）

記録:
ODI形式史上最多通算センチュリー（50回）- ギネス世界記録
クリケット・ワールドカップ 1大会における最多得点記録（765得点）- ギネス世界記録
ODI形式史上最少イニングでの通算1万得点、1万1千得点、1万2千得点 etc.
国際試合史上最少イニングでの通算1万5千得点、2万得点
IPL 通算最多得点記録（8004得点）
受賞・栄典:
パドマ・シュリー勲章（インド政府）
ラジーヴ・ガンディー・ケール・ラトナ賞（インド政府）
ICCプレーヤー・オブ・ザ・デケイド（2011-2020）
サー・ガーフィールド・ソバーズ・トロフィー（ICC年間最優秀選手）- 2回受賞（2017, 2018）
ICC ODIプレーヤー・オブ・ザ・イヤー - 4回受賞（2012, 2017, 2018, 2023）

このリストは彼の輝かしいキャリアのごく一部に過ぎません。ヴィラット・コーリは、今後もクリケット界の歴史にその名を刻み続けることでしょう。

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