ヴェネツィア共和国大評議会

ヴェネツィア共和国の大評議会（イタリア語: Maggior Consiglio）は、共和国の最高政治機関であり、国家の命運を左右する重要な役割を担っていました。ドージェ宮殿の大広間を舞台に、共和国の命運を決定する様々な決定がなされました。

権限

大評議会は、ドージェの選出をはじめ、他のすべての評議会や行政機関の人事を担当し、あらゆる事柄について無制限の主権を持っていました。この権限は、ヴェネツィア貴族のリブロ・ドーロ（黄金の書）に登録された貴族のみが持つ世襲制の特権であり、彼らこそがヴェネツィア国家を構成する存在でした。

歴史

起源

大評議会の起源は、ドージェの個人的な諮問機関であった『賢人会議（Consilium Sapientium）』に遡ると考えられています。1143年、主権者である民衆議会の代表として、ドージェを補佐する新しい議会が設立され、『ヴェネツィア・コミューン』が正式に誕生しました。この議会は、1172年には大評議会へと改組され、当初は35人、後に100人の評議員で構成されるようになりました。1207年以降、評議員は民衆議会ではなく、民衆議会が選んだ選挙人によって任命されるようになり、選挙人の数は1230年には7人に増えました。

近年発見された古文書により、大評議会の歴史はさらに深く掘り下げられています。その一つである『フラーリ』には、812年からサン・マルコの行政官のリストが記されており、その中には、ピエトロ・トラドニコが選出された際の賛成票と反対票数が記録されています。これらの発見は、大評議会の成立が従来考えられていたよりも早かった可能性を示唆しており、ヴェネツィア・コミューンの成立以前から何らかの形態の評議会が存在していたことを示唆しています。しかし、この仮説は、現時点では従来の歴史を覆すまでには至っていません。

セラータ大評議会

評議会への参加を世襲制にする案は、1286年と1296年に一度は却下されましたが、1297年2月28日、「セラータ大評議会」の制定によって、評議会の構成は大きく変わりました。この改革により、それまでの4年間に評議会のメンバーであった者と、その子孫の中から毎年40人が選出されることになり、評議会のメンバーシップは固定化されました。この改革は、貴族階級による支配を確固たるものにするためのものであり、評議会のメンバー数は無制限となりました。

1315年には、「リブロ・ドーロ（黄金の書）」が作成され、18歳になった貴族の名前が登録されるようになりました。そして1319年には、黄金の書に登録された男性貴族は、25歳になると自動的に大評議会に参加できるようになり、事実上、世襲制が確立しました。ただし、毎年サンタ・バルバラの日に抽選で選ばれる30人は、20歳になると参加できるという例外もありました。1423年には、もはや役割を終えた民衆議会は正式に廃止されました。

16世紀から共和国崩壊まで

1498年には聖職者が大評議会から除外され、16世紀に入ると、貴族階級の権利を確定するために出生と結婚の登録簿が作成されました。1527年には、大評議会のメンバー数は最大で2746人に達しました。しかし、セラータの規定により評議員数が大幅に増加したため、政府の重要機能は、より合理的で少人数の組織である上院に委ねられるようになりました。大評議会は、大規模な集会としての機能を徐々に失っていきました。

国家が重大な危機に直面した際には、多額の寄付と引き換えに、新しい家族に大評議会への参加が許されることもありました。これは、キオッジャの戦争やカンディアの戦争の際に、戦費を調達するために行われました。また、富裕な貴族と貧しい貴族（バルナボッティ）の間で対立が生じることもあり、評議会での票の売買が行われる可能性も指摘されていました。

1797年 5月12日、ナポレオンの侵攻に直面した大評議会は、最後のドージェであるロドヴィコ・マニンの退位を受け入れ、貴族議会を解散し、ヴェネツィア共和国の終焉を宣言しました。定足数に満たない状態でしたが、大評議会は圧倒的多数の賛成により、共和国の終焉と暫定政府への権限移譲を決定しました。そして5月16日、ヴェネツィアの臨時市政府が設立されました。

ブローリオ

大評議会のメンバーは、重要な投票の際に、パラッツォ・ドゥカーレ（ドージェの官邸）前の「ブローリオ」と呼ばれる場所に集まりました。この場所では、貧しい貴族（バルナボッティ）が票を売買する行為が行われていたとされ、選挙違反を意味する言葉として、「ブローリオ」という言葉が使われるようになりました。

脚注

注釈

特になし

出典

特になし

参考文献

* Andrea Da Mosto, L'Archivio di Stato di Venezia, indice generale, storico, descrittivo ed analitico, Biblioteca d'Arte editrice, Rome, 1937.

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特になし

外部リンク

特になし

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