ヴェルテックス

ヴェルテックス：頂点を目指した競走馬の軌跡

2017年3月31日生まれの競走馬、ヴェルテックス。その名はラテン語で「頂点」を意味し、その名に相応しい活躍と苦悩を経験した馬である。

デビューは2歳時、芝のレースで最下位に終わるという不穏なスタートとなった。しかし、陣営はすぐにダート路線への転換を決断。転向後は幾度か好走を見せるものの、勝利には届かず、3歳秋にはJRA登録を抹消、地方競馬へと転厩することとなった。

転厩後、地方競馬で才能が開花する。初戦で圧巻の10馬身差をつけて勝利を収めると、続くレースでも圧勝。この活躍が認められ、わずか2戦でJRAへと復帰を果たした。

4歳シーズン、JRA初勝利を飾ると、勢いに乗ってオープン入り。重賞初挑戦となった平安ステークスでは惜しくも敗れたものの、その後も懸命に走り続け、浦和記念では3着と好走。そして年末、念願の重賞制覇となる名古屋グランプリを制し、頂点に立った。直線では上り最速の脚で抜け出し、2着馬に2馬身半差をつける圧勝劇だった。

5歳シーズンはJpnIレースへの挑戦など、さらなる高みを目指した。川崎記念で3着に入る健闘を見せたものの、その後は思うような結果を残せず、秋以降は低迷を余儀なくされた。

6歳シーズンは、2月の仁川ステークスで9着と敗れた後、大井・藤田輝信厩舎へ転厩。今後の活躍に期待がかかるものの、これまでのキャリアを振り返ると、その道のりは決して平坦ではなかったことがわかる。

ヴェルテックスの血統は、重賞5勝の母シーイズトウショウを受け継ぐ恵まれたものだ。その牝系はシラオキ系に属し、近親には菊花賞優勝馬マチカネフクキタル、東京優駿優勝馬ウオッカ、桜花賞優勝馬シスタートウショウなど、数々の活躍馬を輩出している名家である。

名古屋グランプリ優勝という栄光、そして幾多の苦戦。頂点に立った瞬間の喜び、そしてその後の苦悩。ヴェルテックスの歩みは、競走馬としての努力と、それを支える関係者たちの情熱を物語っている。今後の活躍を祈念しつつ、その輝かしい足跡を称えたい。

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