ヴェルラ砕木・板紙工場

ヴェルラ砕木・板紙工場：フィンランドの産業遺産

フィンランドのヴェルラ村に位置するヴェルラ砕木・板紙工場は、かつて製紙・製材業で栄えた場所です。森林資源が豊富なフィンランドにおいて、林業は重要な産業の一つであり、その加工製品は経済を支えてきました。この旧工場は、伝統的な製法を今に伝える貴重な産業遺産として、ユネスコの世界遺産に登録されています。

歴史

ヴェルラ工場の操業は1872年に始まりましたが、1876年の火災と資金繰りの問題により一時閉鎖されました。現存する工場群は、1882年以降に再建されたものです。この時、ドイツ系のフリードリッヒ・ヴィルヘルム・ディッペルが大株主となり、建築家である弟のカール・エドゥアルト・ディッペルと共に工場群を整備しました。レンガ造りの工場は、ネオゴシック様式を取り入れた美しい外観をしています。

フリードリッヒ・ディッペルの死後、工場の所有者は何度か変わりましたが、最終的にはKymmene社（現UPM社）が買い取りました。操業は続けられたものの、1964年6月18日に最後まで残っていた7人の労働者が引退したことで、工場は閉鎖され、その後博物館として一般公開されることになりました。

世界遺産

ヴェルラ砕木・板紙工場は、以下の7つの工場や倉庫が中核地域として世界遺産に登録されており、周辺地域は緩衝地域として指定されています。登録範囲はヴェルラ村が含まれるヤーラ市と、隣接するヴァルケアラ市にまたがっています。

砕木・板紙工場 (1895年、カール・エドゥアルト・ディッペル設計)
板紙乾燥所 (1893年、カール・エドゥアルト・ディッペル設計)
砕木・板紙倉庫と製粉工場 (1902年、カール・エドゥアルト・ディッペル設計)
工場長宅 (1885年～1889年に建設)
木製包装倉庫
円形パビリオン
防火設備庫

登録基準

ヴェルラ砕木・板紙工場は、以下の世界遺産登録基準を満たし、登録されました。

(4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例であること。

ヴェルラ砕木・板紙工場は、19世紀の製紙・製材技術を伝える貴重な産業遺産であり、当時の労働者の生活や文化を垣間見ることができる場所です。フィンランドの林業の歴史を語る上で欠かせない遺産として、今後も大切に保存されていくことでしょう。

外部リンク

フィンランド語'>ヴェルラ博物館公式ページ
* ICOMOSの勧告書 (PDF)

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