ヴォラピュク版ウィキペディア

ヴォラピュク版ウィキペディア（Vükiped）は、人工言語であるヴォラピュクを用いて運営されているウィキペディアです。2003年に開設され、長らくヴォラピュク話者にとって貴重な情報源としての役割を果たしてきました。

急激な成長と課題

2007年夏、ヴォラピュク版ウィキペディアは記事数において目覚ましい成長を遂げました。その背景には、管理者の一人が導入したボットによる記事の自動生成がありました。このボットは、ヨーロッパやアメリカの自治体に関する短い記事（スタブ）を大量に作成し、記事数を急増させました。2007年6月初めには約5,500記事であったものが、同年9月8日には10万記事を突破するという驚異的な増加を見せています。

しかし、この急激な成長の裏には、記事の質や内容に関する課題も存在しました。記事の約90%が都市に関するものであり、その大部分が非常に短い記事であったため、内容の充実度に欠けるものが多く見られました。また、ウィキペディア・プロジェクトが定める「すべての言語版にあるべき項目」にリストアップされている、百科事典として必須とも言える基本的な項目（例えば、地球、第二次世界大戦、ナポレオン、キリスト教、鳥、原子など）の多くが未執筆のままでした。

閉鎖の危機と現状

記事の質の低さや内容の偏りから、ヴォラピュク版ウィキペディアを一旦閉鎖し、ウィキメディア・インキュベーターへ移管するという提案も出されましたが、これは否決されました。その後、2022年にはボットによって作成された記事の大部分が削除され、記事数は約12万から約3万にまで減少しました。

2023年3月20日現在の統計データは以下の通りです。

純記事数：33,238
総項目数：149,421
* 登録者数：33,383名（うち過去30日間に活動記録がある利用者は39名、管理者は2名）

これらのデータから、ヴォラピュク版ウィキペディアは依然として一定の規模を維持しているものの、アクティブな利用者の少なさや記事の質の向上が今後の課題であることが伺えます。

今後の展望

ヴォラピュク版ウィキペディアが今後発展していくためには、記事の質の向上、内容の多様化、そしてアクティブな利用者の増加が不可欠です。ヴォラピュク話者コミュニティの協力のもと、これらの課題を克服し、より充実した百科事典として成長していくことが期待されます。

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