一五式水上偵察機

一五式水上偵察機について

一五式水上偵察機（いちごしきすいじょうていさつき）は、日本海軍で使用された艦載の水上偵察機です。この機体は、主に中島飛行機が手がけた一五式乙型と、愛知時計電機航空機部（後の愛知航空機）が製作した一五式甲型の2つのバリエーションがあります。1927年に制式化された乙型が特に有名です。

開発の背景

第一次世界大戦後、日本海軍は輸入機であるハンザ式水上偵察機を使用していましたが、次第に新たな機体の必要性が高まってきました。そのため、1923年に新型の水上偵察機の開発が命じられ、海軍横須賀工廠と愛知・中島の各社が取り組みました。この新しい水上偵察機は、戦艦や巡洋艦からカタパルトを用いて発艦できることを目指して設計されました。

開発プロジェクトの中で、横須賀工廠は全金属製の水上偵察機を試作しましたが、不採用となりました。一方、愛知は一五式甲型水偵、そして中島は一五式乙型水偵をそれぞれ試作し、最終的に中島の乙型が採用されることになりました。

一五式乙型水上偵察機

中島の一五式乙型水上偵察機は、主任設計者・吉田孝雄の手によって開発されました。この機体は、ハンザ式の視界不良の欠点を克服し、特に下方の視界が非常に優れていることが特徴でした。新しい主翼形状の採用により、飛行性能も向上し、1924年には試作機が完成しました。その後、さらなる改良を経て、1927年に正式に採用され、「一五式水上偵察機」として運用が開始されました。

この乙型の機体は、通常型の一五式水上偵察機一型（E2N1）の他に、練習機としての用途を考慮して複式操縦装置を搭載した一五式水上偵察機二型（E2N2）も存在しました。その後、中島式漁業用水上機として三座化された特別な型も製造されています。合計で約80機が生産され、さらに民間用途としてもいくつかの機体が製造されました。

一五式甲型水上偵察機

愛知の一五式甲型水上偵察機は、三木鉄夫技師によって設計され、1924年に試作機が完成しました。この機体は、ハンザ式の近代改修型であり、低翼単葉機として開発されましたが、安定性に欠ける問題があり、改良が重ねられました。しかし、最終的には不採用となり、4機の試作に留まりました。

終わりに

一五式水上偵察機は、その後の日本海軍において重要な役割を果たしました。艦載機として第一線で活躍した後、練習機としても用いられ、その存在は日本の航空史における重要な一部となりました。また、興味深い逸話として、バラエティ番組『探偵!ナイトスクープ』において、一五式水偵のプロペラが発見されるエピソードもあります。このような歴史的な機体は、日本の航空機業界の発展にも大きく寄与しました。

もう一度検索