一号機雷

一号機雷（いちごうきらい）

概要

一号機雷は、大日本帝国海軍によって開発された浮遊式の機雷で、日露戦争の頃には完成していました。形状は平らな楕円形をしており、厚さは50cm、幅は125cmという特徴があります。この機雷は、従来の繋維式機雷とは異なり、深海でも使用することが可能です。

一号機雷は、軽巡洋艦や駆逐艦に装備され、敵艦隊の予想進路上に敷設されることで敵の攻撃を妨げる役割を果たしました。この機雷は6個がワイヤーで連結されており、個々の機雷の間隔は100mとなっています。その設計は、安全性を考慮されており、一定の時間（一般的に約1時間）の後に海水によって信管を作動不能にする砂糖が溶ける仕組みになっています。また、自動的に沈む時間も設定されており、12時間後には自ら沈むという特長がありました。

この機雷が実戦に投入されたことはないという資料も存在しますが、一部の極秘資料によれば、日本海海戦での使用が確認されています。しかし、秘密保持のためにその事実は公にされず、正式な戦史からもその存在は抹消されました。

訓練と評価

1922年、大正11年に作成された報告書には、一号機雷の敷設訓練やその実効性についての評価が記載されています。第3戦隊や木曾型、小型巡洋艦の一部が参加し、それぞれの艦艇は機雷の敷設訓練を行いました。初回の訓練においては、1個の機雷を装備するのに2時間程度かかりましたが、訓練を重ねるごとにその時間は短縮され、次回は1時間程度、さらには30分程度にまで改善されました。

実際の投下作業においても、木曾型軽巡洋艦が用いられ、速度が異なる状況下での機雷敷設が実施されました。低速で行った場合でも、ケーブルが艦底を滑走する際に問題は少なく、機雷は舷側まで近づくことができました。報告書の所見では、「一号機雷は木曾型軽巡洋艦への影響は乏しい」と評価されており、実用性には一定の疑問が寄せられました。

訓練の際には、風によって敷設線の長さが変化することが観察され、風潮によりケーブルが湾曲したり短縮したりする影響も確認されました。敷設においては、煙幕を利用することで視認性を低下させるのが効果的だとされ、300m程度の距離でない限り、その存在は視認されにくいことが分かりました。

敷設方法の改善案

機雷敷設の方法については、いくつかの改善案が提案されています。まず、人字状に航跡を描いて敵の進行方向上に敷設線を構築する方法や、2隊からなる敷設部隊を編成し、敵艦隊の予想進路に対してその進入を試みる方法が挙げられます。また、敵の正面から直角方向へ転舵し、同時に機雷を敷設することにより、より効果的な機雷原を形成することが目指されました。

搭載艦艇

一号機雷を搭載する艦艇としては、天龍型や球磨型の軽巡洋艦があり、これらの艦船は機雷庫を持っていました。加えて、神風型や睦月型の駆逐艦も艦尾に最大16個の機雷を搭載可能でした。これにより、一号機雷は多くの艦艇に活用されることを想定されていました。

参考文献

• - 木俣滋郎『幻の秘密兵器』光人社（光人社NF文庫）、2004年。
• - 第一艦隊司令部『教範草案に関する件』大正10年9月20日～大正10年10月30日。
• - 第一艦隊司令長官竹下勇『１号機雷諸訓練』大正11年11月17日。

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