一級鉄十字章

一級鉄十字章の概要

一級鉄十字章（Eisernen Kreuzes I. Klasse）は、プロイセン王国およびドイツが設けた軍事勲章であり、歴史上の重要な四つの戦争において制定されました。この勲章は、最下級の二級鉄十字章の上位に位置し、受章者の功績を讃えるために授与されます。

歴史的背景

この勲章の起源は1813年のナポレオン戦争にさかのぼります。ナポレオンとの闘いの最中、プロイセン政府は二級鉄十字章の上位勲章として一級鉄十字章を制定しました。この時期、670名の軍人がこの栄誉を受けました。次に、1870年の普仏戦争が発生した際にも、再び一級鉄十字章が設けられ、1319名の受賞者を出しました。

第一次世界大戦が始まる1914年にも、一級鉄十字章が再発行され、多くの軍人がその名誉を得ることとなりました。この戦争の長期化により、一級鉄十字章の受章者は約16万人に達しました。

ナチス・ドイツによる再制定

1939年から始まった第二次世界大戦においては、ナチス・ドイツ政府が再びこの勲章を制定しました。この時の鉄十字章は、新たに大鉄十字章や騎士鉄十字章といった上位賞が設けられ、序列に基づく栄誉が強調されました。一級鉄十字章は、二級鉄十字章とともに新たな等級として存在しました。

この戦争でも、敵との長期戦によって約30万人の軍人が一級鉄十字章を受章し、その名誉を持つ者たちが数多く現れました。しかし、この時代の一級鉄十字章と騎士鉄十字章との間には大きな格差が存在しました。騎士鉄十字章を受章した者は約7000名であり、この不足を補うため1940年にはドイツ十字章という新たな勲章が制定されました。このドイツ十字章を受けるためには、既に一級鉄十字章または一級戦功十字章を持っていることが条件とされました。

勲章の位置付け

第二次世界大戦中の軍事勲章の序列は、大鉄十字章、騎士鉄十字章、ドイツ十字章、一級鉄十字章、二級鉄十字章と定められていました。このようにして、一級鉄十字章はドイツ軍の中で特に名誉ある勲章としての地位を確立しました。

一級鉄十字章は、戦争における軍人の勇気や献身を象徴する重要な勲章であり、受章者はその功績によって国家からの高い評価を得たことを示しています。このように、歴史的な背景と数々の戦争を経て、一級鉄十字章は今なおドイツの軍事的伝統の中で特別な意味を持ち続けています。

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