七つの会議

『七つの会議』

概要

『七つの会議』は、日本の作家池井戸潤による小説で、2011年から2012年にかけて『日本経済新聞電子版』で連載されました。2012年 11月5日に出版されたこの作品は、企業の不祥事に直面する社員たちの視点から描かれた群像劇です。

作品は、八つの章からなる連作短編集の構成となっており、中央の舞台は中堅電機メーカーの東京建電です。この会社では、社員たちの不作為が不祥事を引き起こしていき、その影響がさまざまな人物に及んでいきます。本作はテレビドラマや映画化もされ、多くの読者や視聴者の記憶に残る作品となっています。

あらすじ

物語は、一部上場の大手電機メーカー「ソニック」の子会社である東京建電から始まります。営業会議を通じて、役職や職種の異なる平凡な社員たちが直面する様々な問題が次第に明らかになっていきます。特に、営業部長の北川誠が支配する現場では、パワハラや人事異動が重要なテーマとして描かれています。

第一章

営業第二課の課長である原島万二は、営業部長の北川に対する恐怖を抱えながら、会議に臨みます。営業部は「花の一課、地獄の二課」と呼ばれるほど明暗が分かれており、営業第一課の坂戸宣彦が中心となり称賛を受ける一方で、二課の原島は叱責に耐える日々です。八角民夫と呼ばれる万年係長が坂戸にパワハラでの訴えを起こしたことで、波乱の展開が訪れ、坂戸は人事部に左遷され、原島がその役職を引き受けます。

第ニ章

ねじ製造業者「ねじ六」が主な舞台のこの章では、経営難に直面する三沢逸郎が登場します。原島が突然の発注を行うことで、ねじ六は救われますが、その裏には坂戸の左遷が関与していることが語られます。

第三章

浜本優衣は27歳で、仕事に対して苦痛を感じていました。過去の恋愛が影響しており、無人のドーナツ販売を企画することで何かを残したいと考えます。しかし、無人販売の導入には泥棒の存在が立ちはだかります。

第四章

経理課の加茂田久司と新田雄介は、営業課と密接に関わりを持ちながら、原島の転注に疑問を抱きます。

第五章

佐野健一郎は、営業部での地位を失い、カスタマー室で苦しんでいます。しかし、クレーム対応の過程で強度不足のねじが使用されていることに気づき、その事実が大きな問題に発展します。

これらの章を通して、登場人物たちの運命が交錯し、不祥事がもたらす影響に翻弄される様子が描かれています。企業内の権力闘争や人間関係が複雑に絡み合う中、全ての真実が徐々に浮かび上がり、心の葛藤や倫理が問われる展開が繰り広げられます。読者は、個々の人物の視点を通じて、組織内の闇や人間の弱さを深く感じることができるでしょう。

登場人物

- 八角民夫 : 営業第一課の係長で、居眠りばかりの社員。
- 北川誠 : 絶対権力者の営業部長。
- 坂戸宣彦 : 営業第一課の課長。
- 原島万二 : 営業第二課の課長。
- 浜本優衣 : 営業第四課の新入社員。

こうした多彩なキャラクターたちが織り成す人間ドラマは、企業文化や組織の問題に鋭く切り込んでいます。

書誌情報

本作は2012年に単行本として出版され、その後文庫本も刊行されました。ドラマ化や映画化もされ、多くのメディアで取り上げられています。特に、TVドラマ版は2013年放送で、主演に東山紀之が選ばれ、ストーリーの重要な要素が視覚的に表現されています。

結論

『七つの会議』は、企業社会の複雑さや人間の内面を深く掘り下げながら、緊迫感のある物語を提供しており、読者に様々な感情を呼び起こします。池井戸潤の描く現代の企業ドラマは、多くの人々に共感されるポイントが多く、次々と展開される事件は、私たちに何かを考えさせる機会を提供します。

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