七人の自由学芸に紹介されている青年

サンドロ・ボッティチェッリによって1483年から1486年頃に描かれた『七人の自由学芸に紹介されている青年』は、ルネサンス期のイタリア美術を代表する作品の一つです。この絵画は、別の呼び名として『「法」によって「慎重」とほかの自由学芸に紹介されるロレンツォ・トルナブオーニ』や『自由学芸に紹介されているロレンツォ・トルナブオーニ (イタリア語: Giovane Introdotto tra le Arti Liberali) 』としても知られています。

この絵画は、もともとフィレンツェ近郊のヴィラ・レンミという別荘に飾られていました。この別荘は、メディチ銀行のローマ支店長であるジョヴァンニ・トルナブオーニが所有していました。この作品は、対となる『若い婦人に贈り物を贈るヴィーナスと三美神』と共に、このヴィラの装飾として制作されました。これらの絵画は、ジョヴァンニの息子ロレンツォ・トルナブオーニとアルビッツィ家のジョヴァンナの結婚式（1486年）のために依頼されたと考えられています。そのため、『七人の自由学芸に紹介されている青年』は、ロレンツォ・トルナブオーニを描いたものとされています。

絵画の中央には、自由学芸（リベラル・アーツ）を象徴する寓意的な人物たちが描かれています。この人物たちの輪の中に、文法の擬人化である「文法」に導かれ、若い男性、おそらくロレンツォ・トルナブオーニが登場します。この場面は、「慎重」が主催し、「修辞学」、「論理学」、「算術」、「幾何学」、「天文学」、「音楽」といった自由学芸を代表する人物たちが取り囲んでいます。それぞれの人物は、特定の属性によって識別できます。古代において、自由学芸は自由な人にふさわしい教育を示していました。したがって、この絵画は若いロレンツォの幅広い教育を証明するものであり、当時の教養観を反映していると言えるでしょう。

特に注目すべきは、銀行家の末裔であるロレンツォが、数字に焦点を当てた教育を受けていた可能性を示唆する描写です。算術の擬人化は、ロレンツォに挨拶するために手を差し伸べている様子が描かれています。これは、算術がロレンツォの教育において重要な役割を果たしていたことを暗示していると考えられます。

これらの2枚の絵画は、1873年にヴィラ・レンミで発見されました。発見当時、絵画は白塗り層の下に隠れており、元の場所から剥がされた状態で発見されました。現在、両作品はパリのルーブル美術館に所蔵されており、多くの美術愛好家や研究者によって鑑賞されています。ボッティチェッリの洗練された筆致と、ルネサンス期の教養と美意識が凝縮されたこれらの作品は、美術史において重要な位置を占めています。

もう一度検索