七人の証人

七人の証人

『七人の証人』は、西村京太郎によって1977年に発表された長編推理小説です。孤立した無人島という閉鎖的な空間を舞台に、過去の事件に関わった人々が集められ、複雑に絡み合う人間関係と心理を描き出しています。

あらすじ

警視庁の十津川警部は、帰宅途中に突如として誘拐され、見知らぬ無人島へと連れ去られます。そこは、まるで現実を切り取ったかのように、彼が住む街の一部を再現した奇妙な場所でした。島には、過去に発生した「木下誠一郎殺人事件」の証人となった7人が集められていました。彼らを誘拐したのは、事件の容疑者として逮捕され獄中で亡くなった佐伯信夫の父、佐々木勇造でした。

佐々木は、息子が犯人であると断定した証言に疑問を抱き、事件の真相を明らかにするために、無人島に事件現場を再現し、証人たちに改めて証言させようとします。十津川は、事件とは無関係の第三者として、客観的な視点から事件を検証する役割を担わされます。

検証が進むにつれて、証人たちの証言には虚偽や隠蔽が多数含まれていることが判明します。それぞれの思惑や立場から、真実を歪めていたのです。そして、真実が明らかになるにつれて、証人たちが次々と殺害されていくという事態が発生します。

十津川は、複雑に絡み合った人間関係と、それぞれの証言の矛盾点に着目し、事件の真相を解き明かそうと奔走します。果たして、犯人は佐々木なのか、それとも7人の証人の中に潜んでいるのか？

登場人物

十津川省三: 警視庁捜査一課の警部。誘拐され、事件の検証役として無人島に連れてこられる。
佐々木勇造: 佐伯信夫の父親。息子の無実を信じ、事件の真相を暴こうとする。
三根ふみ子: バー「ロマンス」のマダム。事件当夜の状況を証言。
小林啓作: バー「ロマンス」の常連客。三根と共に事件について証言。
岡村精一: 中央銀行N支店の副支店長。事件当夜、不倫相手の千田美知子を送る際に事件を目撃したと証言。
千田美知子: 中央銀行N支店勤務。岡村の証言を一部訂正する。
山口博之: 浪人生。事件現場付近で佐伯を目撃したと証言。
浜野光彦: フリーカメラマン。事件現場を撮影したと証言。
安藤つね: 果実店経営。佐伯が犯行後に店に立ち寄ったと証言。
佐伯信夫: 木下誠一郎殺害事件の容疑者。獄中で病死。
木下誠一郎: 太陽物産第3営業部課長。殺人事件の被害者。

作品の特徴

クローズド・サークル: 無人島という閉鎖された空間で事件が発生し、登場人物が限られている。
連続殺人: 真相が明らかになるにつれて、証人たちが次々と殺害される。
心理描写: 登場人物の心理が丁寧に描かれ、それぞれの思惑や葛藤が事件を複雑にする。
* 証言の虚偽: 証人たちの証言には、虚栄心や保身など、様々な理由から虚偽が含まれている。

『七人の証人』は、緻密な構成と巧妙なトリック、そして人間の心理を深く掘り下げた描写が魅力の推理小説です。読者は、十津川警部と共に事件の真相を推理し、驚愕の結末を迎えることになります。

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