万福寺 (下呂市)

萬福寺は、岐阜県下呂市金山町に位置する、釈迦如来を本尊とする臨済宗妙心寺派の寺院で、神亀山という山号を持っています。寺伝によると、神亀元年（724年）に泰澄によって開かれたとされており、当初は天台宗の寺院として亀像院という名で知られていました。しかし、その後一時的に衰退してしまいます。

天文7年（1538年）になると、三木直頼が禅昌寺の杲天慧紹を招き、臨済宗妙心寺派の寺院として再興されました。この際に、寺号が現在の萬福寺に改められました。寛永年間には、現在の寺号に落ち着いたとされています。しかし、宝暦6年（1756年）には火災に見舞われ、堂宇が焼失してしまいました。

その後、安永5年（1776年）に14世謙堂智存によって再建され、現在の姿に至ります。本堂には、文政年間に作られた龍の彫刻があり、これは下呂市の文化財に指定されています。また、境内には同じく文政年間に造られた逆さ松傘積みの石垣があり、こちらも下呂市の史跡として指定されており、歴史的な価値を今に伝えています。

萬福寺は、益田津三十三観音霊場を構成する複数の寺院を管理しています。具体的には、中津原の潮音堂（3番札所）、福来の善応堂（4番札所）、蛇之尾の如日堂（9番札所）、夏焼の妙智堂（10番札所）、そして自在堂（11番札所）です。これらの札所を管理することで、地域における信仰の中心としての役割も担っています。これらの寺院の本尊は、聖観世音菩薩や薬師如来など、それぞれ異なっています。

さらに、令和3年（2021年）から始まった下呂温泉周遊七福神めぐりでは、福禄寿を祀る霊場として、多くの観光客や参拝客に親しまれています。このように、萬福寺は、歴史的な建造物や文化財、そして霊場としての側面を持ち合わせ、地域の人々にとって重要な存在となっています。四季折々の美しい自然に囲まれた境内は、訪れる人々に心の安らぎを与えてくれます。

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