三ばか大将

三ばか大将：アメリカの国民的コメディグループの軌跡

『三ばか大将（The Three Stooges）』は、アメリカ合衆国で1930年代から活躍したボードビル出身のコメディグループであり、短編映画シリーズ、そしてテレビ番組としても絶大な人気を博しました。その独特の笑いと個性的なキャラクターは、時代を超えて世界中の人々を魅了し続けています。

最も有名なメンバー：モー、ラリー、カーリー

最も広く知られているのは、モー・ハワード、ラリー・ファイン、そしてカーリー・ハワードの3人組です。リーダー格のモーは、短気でカラ威張りの性格で、カーリーの突拍子もない行動にしばしば暴力的なツッコミを入れます。一方、ラリーはお茶目な髪型と、二人の間で振り回される気の毒な姿で人気を集めました。そして、丸坊主のデブで石頭というカーリーは、アドリブ満載のボケと奇声を発する独特のキャラクターで、グループの中心的な存在でした。この3人の絶妙なバランスと、サイレント映画時代からのパイ投げやドタバタ劇、そしてトーキー時代の言葉遊びや効果音などを巧みに組み合わせた演出が、彼らの魅力を際立たせていました。

カーリーの異様な人気と、その影

特にカーリーの人気が群を抜いていました。彼の独特の笑い声「N'yuk, n'yuk, n'yuk」、興奮した時の叫び「Woo, woo, woo」、そして様々な奇声やリアクションは、観客を爆笑の渦に巻き込みました。彼のコミカルな動きやアドリブは、他のコメディアンにも大きな影響を与えました。ウォルト・ディズニーのアニメーション映画『ファンタジア』でも、カーリーの演技が参考にされていると言われています。しかし、陽気なキャラクターとは裏腹に、カーリーは私生活では病的なシャイさで、ストレスからアルコールに依存するなど、苦悩を抱えていました。1946年、脳卒中により活動を休止し、1952年に48歳で夭逝。その早すぎる死は多くのファンに衝撃を与えました。

メンバー交代と新たな魅力

カーリーの脱退後、モーは実兄のシェンプ・ハワードを迎え入れました。シェンプはカーリーとは異なる、仏頂面でドジなキャラクターで人気を集め、グループに新たな魅力をもたらしました。しかし、シェンプも1955年に心臓発作で急死。その後はジョー・ベッサー、そしてジョー・デリータが加入し、グループは活動を続けました。ジョー・デリータはカーリーのように丸坊主頭で、「カーリー・ジョー」と呼ばれ、カーリーの後継者として期待されました。

日本での人気とテレビ放送

『三ばか大将』は1963年から1964年にかけて、日本テレビ系列で放送され、森永製菓のスポンサーによるキャラクター化されるほどの大人気となりました。日本語版の主題歌「ウヒハー、ヘンチクリン」は、日本独自のものです。1966年にはNET（現：テレビ朝日）でも放送されました。テレビでの再放送は、彼らの絶大な人気を支え続けました。

後世への影響

『三ばか大将』はアメリカ文化に深く根付いており、数々のテレビ番組や映画で取り上げられました。マイケル・ジャクソンは熱狂的なファンであり、彼の代表曲『スリラー』のプロモーションビデオは『三ばか大将』の短編映画から着想を得ていると言われています。また、ビデオゲームや映画のリメイク作品も制作されています。

結語

モー、ラリー、そしてカーリーら、数々のメンバーによって彩られた『三ばか大将』の歴史は、アメリカの喜劇史に大きな足跡を残しました。彼らの独特のユーモアと、時代を超えた人気は、これからも人々を笑顔にすることでしょう。彼らの活動は、短編映画からテレビ番組、そして長編映画へと拡大し、世界中に笑いと感動をもたらしました。彼らの活躍は、多くのコメディアンたちに影響を与え、現在でも多くの人々に愛され続けています。 その独特のスタイルと、時代を超えた普遍的な笑いは、これからも人々を魅了し続けるでしょう。

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