三上剛史

三上剛史

三上 剛史（みかみ たけし、1952年 - ）は、日本の社会学者。長年にわたり大学で教鞭を執り、神戸大学および追手門学院大学において名誉教授の称号を授与されている。現在は追手門学院大学の常勤監事も務める。

来歴

三上は京都府に生まれた。教育の道を志し、京都大学文学部に入学し、1976年に同大学を卒業した。その後、さらに深く社会学を学ぶため、京都大学大学院文学研究科に進学し、博士課程に在籍したが、1981年にこれを中途退学した。

大学院修了後、同年には愛知県立大学の専任講師に着任し、研究者としてのキャリアをスタートさせた。愛知県立大学では教育・研究活動に尽力し、1986年には助教授に昇任した。

1989年、神戸大学に移り、教養部の助教授に就任。その後、1992年には同大学の国際文化学部助教授に配置換えとなった。国際文化学部では研究・教育活動を精力的に行い、1998年には教授に昇任。社会学の研究と後進の指導に貢献した。神戸大学における多大な功績が認められ、2007年には同大学の名誉教授の称号を授与された。

神戸大学を退職後、追手門学院大学に迎えられ、社会学部の教授として再び教壇に立った。ここでも教育・研究に貢献し、現在は追手門学院大学の名誉教授でもある。また、同大学の常勤監事として、組織運営にも関わっている。

学術的な功績としては、1997年に神戸大学より文学博士の学位を取得している。この際の博士論文は、「社会理論の現代的特性と理論的布置に関する研究 その共通項と可能性」と題され、現代社会理論の分析を通じて学術的な成果を上げた。

研究分野と著作

三上の研究は、現代社会が抱える様々な課題を社会理論の視点から読み解くことに主眼が置かれている。特に、ポスト近代、モダニティ、リスク社会、そして個人のあり方といったテーマに関心を持ち、活発な研究活動を行ってきた。その成果は多くの著作として結実している。

主な単著としては、現代社会学の潮流を論じた『ポスト近代の社会学』（世界思想社、1993年）がある。また、モダニティと道徳の関連を探求し、デュルケームからハバーマス、ルーマンといった著名な社会学者たちの理論を分析した『道徳回帰とモダニティ デュルケームからハバーマス-ルーマンへ』（恒星社厚生閣、2003年）は、その学術的深さを示す一冊である。

さらに、現代社会におけるリスク、監視、個人化といった側面を社会学的に考察した『社会の思考 リスクと監視と個人化』（学文社、2010年）や、リスク社会における個人の複雑な様相を「ディアボリズム」（悪魔性）という独自の視点から論じた『社会学的ディアボリズム リスク社会の個人』（学文社、2013年）などがある。これらの著作を通じて、現代社会の変動やそこで生きる個人の経験について、独自の視点から分析を展開している。

共著にも名を連ねており、1985年には平英美氏、栗岡幹英氏とともに『現代文化の特質』（高文堂出版社）を刊行している。

これらの業績は、日本の社会学研究、特に現代社会理論およびその応用研究分野において重要な位置を占めていると言える。

主要著作リスト

『ポスト近代の社会学』世界思想社、1993年
『道徳回帰とモダニティ デュルケームからハバーマス-ルーマンへ』恒星社厚生閣、2003年
『社会の思考 リスクと監視と個人化』学文社、2010年
『社会学的ディアボリズム リスク社会の個人』学文社、2013年

（共著）

* 『現代文化の特質』平英美, 栗岡幹英共著、高文堂出版社（社会学全書）、1985年

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