三上経実

三上経実の生涯とその影響

三上経実（みかみ つねざね）は、戦国時代における武将であり、因幡国の巨濃郡に位置する岩井庄の三上氏の当主でした。彼は道竹城の城主として知られていますが、詳細な実名は文献上に残っていません。ただし、彼には姉妹がいることが知られています。

経実の歴史的背景

経実が初めて歴史に登場したのは、天文7年（1538年）7月のことです。当時、彼は守護の山名誠通からの岩井庄の押領を止めてもらうよう求めており、そのために大舘常興を通じて幕府に嘆願しました。しかし、この試みは成功には至りませんでした。これにより、彼は但馬山名氏との接近を模索するようになりました。一説によると、経実は但馬山名氏の代官であり、彼らが因幡地方に進出する際に岩井庄の管理を任されていたとされています。

道竹城合戦と経実の死

天文10年（1541年）6月29日、経実は道竹城下で山名誠通の急襲を受け、現在の岩美町本庄地区で命を落としました。この戦闘は道竹城合戦として知られています。興味深いことに、彼の妻との間に実子がいなかったため、経実の死後、三上氏は後継者問題を抱えることになりました。特に、残された妻の再婚や経実の姉妹の後継に対する干渉が問題となりました。幸運なことに、大舘常興や幕府の奉行人である飯尾貞広、治部貞兼の助言により、伯耆山名一族から山名こ不二郎が養子となり、経実の後を継ぎました。

山名東揚との関連

また、江戸時代には、但馬山名系の山名東揚が還俗して三上兵庫頭豊範と名乗ったという説がありました。この話は小泉友賢の著作『因幡民談記』に由来していますが、中世史の研究家である高橋正弘によって、この説は誤った時代背景の認識から生じたものだとされています。高橋氏は、友賢の時代になると経実を含む三上氏の存在が薄れていて、そのため友賢が経実と東揚にまつわるわずかな伝承を基に山名東揚と三上兵庫頭を結びつけてしまったのではないかと指摘しています。

参考文献

• - 『因伯の戦国城郭 通史編』高橋正弘、自費出版、1986年
• - 『新修鳥取市史　第一巻　古代・中世篇』鳥取市、1983年

このように、経実の生涯は戦国時代における権力争いや後継問題、さらには地域の支配構造に大きな影響を与えたことが理解できます。彼の存在は時代を通じて語り継がれ、地域史の中において重要な一ページを形成しています。

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