三代目襲名

映画『三代目襲名』の詳細

『三代目襲名』（さんだいめしゅうめい）は、1974年8月10日に公開された日本の映画で、東映製作の作品です。この映画は、前作『山口組三代目』の続編であり、三部作の中でも特に注目される第二弾となっています。物語は、神戸にある小さな組織を日本最大の暴力団へと成長させた田岡一雄の壮大な一代記を描いており、戦争中の刑務所生活から戦後の混乱期に至るまでの彼の足跡を追います。

制作背景

この映画の制作にあたり、前作『山口組三代目』では各地方の防犯協会から上映を阻止される動きがありました。このため、当時の東映社長である岡田茂は、「当分は続編を作らない」と言明していましたが、1年近く経つ中で状況が変化。全国の映画館からは、他社の作品と差別化できる企画が必要との声が上がり、映画化が決定されました。

元々予定されていたタイトルは『山口組三代目襲名篇』でしたが、防犯協会からの圧力を受け、『三代目襲名』に変更されることとなります。クランクインは1974年7月4日に行われ、制作は順調に進みましたが、社会的な批判も多く寄せられました。マスコミからは「儲けのためには手段を選ばない」といった声が挙がったものの、製作陣は「暴力を礼賛するものではなく、社会の現実を描く作品である」と主張し、撮影を強行しました。

映画の評価と興行成績

公開からあたる1974年には、配給収入が約4億1700万円を記録し、この年の邦画配給収入ランキングで第5位にランクインするなど高い評価を受けました。総ラッシュを観た田岡一雄も本作について「一部は叙情的で、二部は多くの立ち回りを含む殺伐とした内容で、全体的には“甲”のできと評価しました。

キャストと登場人物

本作には数多くのキャラクターが登場し、主に山口組にまつわる人物たちが描かれています。特に主人公の田岡一雄は高倉健が演じ、その強烈なキャラクターが映画のメインを担います。田岡の妻や仲間たち、さらには敵対するキャラクターたちとの関係性が物語の深化に寄与しています。例えば、田岡の妻である田岡文子を松尾嘉代が演じ、彼との秘めた絆がストーリーに重要な役割を果たします。

シリーズ展開の課題

本作の成功を受けて、シリーズの第三作『山口組三代目 激突篇』の制作も予定されていましたが、警察の介入や田岡満プロデューサーの逮捕により、その展開は頓挫しました。そのため、『三代目襲名』がシリーズの最終作となることが決定されました。

結論

『三代目襲名』は、ただの暴力団映画に終わらず、戦後の日本社会の複雑な現実を鋭く描き出した作品です。本作が高い評価を得た理由は、面白さだけでなく、作品に込められたメッセージ性にもあるのです。

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