三原昌平

三原 昌平（みはら しょうへい）

1947年、福島県田村郡御木沢村（現在の三春町）に生まれた三原昌平は、日本のプロダクトデザイン界で多角的に活躍するデザイナーであり教育者です。飛行機エンジニアであった父、信吉と母アキの間に生を受けました。幼少期には福島県内の船引町（現・田村市）を経て東京都板橋区へと移り住み、地元の小中学校を卒業しました。大東文化大学第一高等学校で学び、1970年には東京造形大学デザイン学科インダストリアルデザイン専攻を修了。ここでは清水千之助や豊口協といった先達の教えを受けています。

大学卒業後、新星冷蔵工業株式会社での実務経験を経て、1973年にはP&Pデザイン研究所を共同で設立し、独立の道を歩み始めます。1985年にはラジカルデザインスタジオを開設。その後、1992年に名称を三原デザイン事務所へと改め、現在に至るまで活動の拠点としています。2013年からは千葉県山武市を主な生活と活動の場としています。

デザイン活動は非常に多岐にわたります。単に工業製品を手がけるだけでなく、日本の地場産業との連携を重視し、新たな価値創造に尽力してきました。秋田県の川連漆器や山中漆器、青森県の津軽塗り、富山県の和銑、千葉県のスガハラガラスなど、各地の伝統技術に現代のデザインを融合させる試みを積極的に行っています。特に津軽塗りに関しては「ネオツガル（NeoTsugaru）」と名付けた独自のスタイルを展開し、その作品はシカゴ美術館に永久保存されるなど、国際的な評価も獲得しています。また、デザイナーでありながら、展覧会の企画やプロデュース、ディレクションも数多く手掛け、デザインの可能性や社会との関わりを問い続けてきました。

これまでに手掛けた製品やプロジェクトは数多く、温度計・湿度計、ホテル・インルーム用品、ブリーフケース、リストウォッチ、クロック、歯ブラシスタンド、テープカッター、アラームクロック、折り畳み椅子、振り子時計など、日用品からオフィス用品まで幅広いアイテムのデザインに携わっています。これらのデザインワークは、ハノーファー・メッセIF賞をはじめ、グッドデザイン賞を多数受賞しており、そのデザイン性の高さと実用性が広く認められています。特にワキタハイテクス社の製品では多くのグッドデザイン賞を受賞しました。また、初期のMacintosh向けソフトウェアであるEgWordシリーズのアイコンデザインも手掛けるなど、黎明期のデジタル分野にも関わっています。

教育者としての側面も持ち合わせており、2004年から2007年まで岐阜県オリベ想創塾で教授を務め、2007年から2013年には大同大学情報デザイン学科で教鞭をとりました。次世代のデザイナー育成にも情熱を注いでいます。

デザインに対する自身の思想をまとめた著作も刊行しており、『プロダクトデザインの思想』シリーズはVol.1からVol.3まで出版されています。これらの著書は全国図書館協会推薦図書にも選ばれており、プロダクトデザインを学ぶ者や関心を持つ人々にとって重要な文献となっています。また、雑誌への連載を通じてデザイン論を展開するなど、言論活動も行いました。

情報発信にも積極的で、mihara.netやdesign.jpといったウェブサイトを開設し、自身の活動やデザインに関する情報を公開してきました。近年ではYouTubeチャンネル「三原昌平」を開設し、デザインや関連分野に関する自身の考えや経験を発信しています。チャンネル内では、過去に自身が関わった「ネオツガル」に関する出来事にも触れています。

2018年には、デザイン関係者として初めて福島県外在住功労者（文化・芸術部門）として表彰されるなど、出身地への貢献も高く評価されています。プロダクトデザイナー、教育者、そしてデザインプロデューサーとして、日本のデザイン界において独自の立ち位置を築き、多大な功績を残している人物と言えるでしょう。

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