三国フーズ

三国フーズ株式会社は、かつて埼玉県、群馬県、新潟県を拠点に、三国コカ・コーラボトリングの製品を販売していたメーカーです。最盛期には、自社ブランド「アクアマリン」のほか、「カナダドライ」や「リプトン」といった有名ブランドのライセンス製品も手掛けていました。

事業の展開

かつて三国フーズは、多様な飲料ブランドを展開していました。自社ブランドの「アクアマリン」に加え、「カナダドライ」や「ドクターペッパー」、「リプトン」といったブランドのライセンス販売を行っていました。また、JR東日本（後のジェイアール高崎商事）の「大清水」ブランドの受託生産も2006年まで担当していました。

製造は、発売当初から三国コカ・コーラボトリング埼玉第二工場（後のコカ・コーライーストジャパンプロダクツ埼玉工場）や丸善食品工業が担当していました。そのため、三国コカ・コーラ管内では駅だけでなく、コーンポタージュ、おしるこ、緑茶、ティーオレなど、コカ・コーラ社製品よりも大清水などの三国フーズ取扱商品が多数入った自動販売機が多く見られました。高崎商事から飲料事業を引き継いだJR東日本ウォータービジネスからも、大手飲料メーカーとのタイアップではない緑茶、烏龍茶、ココア、ティーオレなどが販売され、2007年秋からは三国コカ・コーラの一部自動販売機でも取り扱われるようになりました。

業界の特殊事情

三国フーズと同様の形態として、東京コカ・コーラボトリングのトレッカ及び東京カナダドライ、利根コカ・コーラボトリングの利根ソフトドリンク、富士コカ・コーラボトリングの富士ビバレッジ、近畿コカ・コーラボトリングのケーシービーフーズサービス、沖縄コカ・コーラボトリングの沖縄カナダドライなどが存在しました。

これは、ボトラーと日本コカ・コーラとの間の「ボトラーズアグリメント」という契約に起因するものでした。この契約には、コカ・コーラのロゴが入った自動販売機ではコカ・コーラ社以外の製品を販売してはならないという規約がありました。そのため、各ボトラーは建前上、子会社からの販売という名目で自社製品や他メーカーのライセンス製品を販売していたのです。しかし現在では、日本コカ・コーラの締め付けが厳しくなり、ボトラー各社のプライベートブランドは大幅に縮小されています。ちなみに、「カナダドライ」と「ドクターペッパー」は現在、日本コカ・コーラのブランドとして販売されています。

会社概要と沿革

• - 本社所在地: 埼玉県桶川市大字加納180番地
• - 1979年12月: 三国キャンティーン株式会社設立
• - 1982年2月: 新潟三国キャンティーン株式会社設立
• - 1983年12月: 三国フーズ株式会社設立
• - 1985年4月: 三国キャンティーンが新潟三国キャンティーンを吸収合併
• - 1989年1月: 三国フーズが三国キャンティーンを吸収合併
• - 1990年6月: 株式会社三国コーヒーサービス設立（当社の登記簿上の設立年月日）
• - 1995年7月: 三国コーヒーサービスが三国フーズを吸収合併
• - 2015年4月1日: コカ・コーライーストジャパン傘下の8社を統合し、FVイーストジャパンとして再編。三国フーズは、新生FVイーストジャパンの存続法人となる
• - 2018年1月1日: FVイーストジャパンがFVジャパンへ商号変更

リプトンを巡る状況

三国フーズは1989年からリプトンの日本法人とライセンス契約を結び、リプトンの缶入り・瓶入り製品を販売していました。その後、ペプシコ・インク日本支社がリプトン本社とライセンス契約を結び、自社の流通網で販売を開始したため、コカ・コーラとペプシコーラというライバル会社が同じ製品を販売するという状況が埼玉・群馬・新潟地域で発生しました。この地域では、三国版（販売者名リプトンジャパン）とペプシ版（販売者名ペプシコ・インク）のリプトンが販売されていましたが、三国版の方が商品数は多かったようです。

三国フーズ及び三国コカ･コーラボトリングはリプトン製品の販売に意欲的でしたが、リプトン製品の日本での商標所持者であるビー・ピー・エルジャパンは平成13年4月1日以降の販売契約更新を拒否しました。これを不服とした両社は損害賠償請求を起こしましたが、平成15年に和解が成立。これにより、三国社取り扱いのリプトンは終売となりました。ペプシ版は販売が継続され、1998年以降はペプシ製品の日本国内での販売権を譲受したサントリーフーズが取り扱っています。

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