三山 (京丹後市)

三山（みやま）について

三山は京都府京丹後市丹後町に位置する廃村で、1974年にすべての住民が集団移住したことによりその姿を消しました。かつてこの地域には12戸の家がありましたが、住民は丹後町三宅に新たな生活へと移行しました。この集団移住の過程では、丹後町との協議を重ねて計画を進め、成功させたという歴史が刻まれています。

地理的な位置

三山は標高約150メートルの場所にあり、鞍内の東南方向に位置します。宇川の中流の右岸で、流域に三山川が流れています。川はおおよそ12メートルの幅があり、流路は4,200メートル、流域は0.45平方キロメートルに及びます。周囲には碇高原が広がり、冬には豪雪が訪れることも多い地域です。このような自然環境から、ここに住む人々は厳しい生活を強いられることがありました。

歴史の歩み

文献に残る三山の最古の記録は、徳川2代将軍秀忠の時代に成立した『宮津旧記』に記載されています。その後、1905年には新たに小学校が設置され、地元の子供たちの教育が始まりました。

戦後、1950年代から60年代にかけては、電話の設置や水道施設の整備などが進み、地域は徐々に発展していきます。しかし、1963年に発生した三八豪雪によって、多くの住民が避難を余儀なくされました。この豪雪を契機に、離村が徐々に進行し、最終的に1974年に全住民が三宅へと移住しました。

生活の実態

三山の住民は主に稲作を生業としていましたが、田は遠くにあり、朝早くから出かける生活が続いていました。冬の寒さも厳しく、男性は杜氏として酒造業に従事するため、冬場は長期間出稼ぎに出ていくことが一般的でした。これにより、村は女性と子供だけの生活になることもしばしばで、日常生活は多くの困難を伴っていました。

集団移住の背景

1974年、三山の住民は京都府の碇高原総合牧場建設に伴い、丹後町三宅へ集団で移住を決断しました。移住先は経済的に有利で、近隣に土地を所有している人も多く、農作業がしやすいという利点がありました。住民は自らの土地を無償で譲渡することに決め、丹後町との間で移転に関する手続きを行い、住宅の建設費用の一部も補助を受けることができました。このようにして、三山は運命を閉じ、住民たちは新たな一歩を踏み出しました。

離村後の記録

集団移住後の1975年には、三山を記念する石碑が建立され、地域の思い出を後世に伝える役割を果たしています。住民の記憶や文化は、8ミリビデオに記録され、今もその跡が残っています。三山の生活の一端を知り、その湧き出る自然と歴史を感じることができる貴重な記録となっています。将来、この地に住んでいた人々の思い出や歴史が、さらに多くの人々に語り継がれることを願います。

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