三幕の殺人

三幕の殺人

アガサ・クリスティの『三幕の殺人』（原題：Three Act Tragedy、アメリカ版：Murder in Three Acts）は、1934年に発表された推理小説です。イギリスの探偵エルキュール・ポアロが登場し、物語は3つの幕から構成されています。作品はイギリス版とアメリカ版が存在し、真相にわずかな違いがあります。

物語は、引退した名舞台俳優であるサー・チャールズ・カートライトが主催するコーンウォールの晩餐会から始まります。ここで、ゲストとして招かれた地元の牧師、スティーヴン・バビントンが不幸にも死を迎えます。続いて数か月後、同じくチャールズのパーティーに出席していた神経科医バーソロミュー・ストレンジも死亡します。これらの不可解な死に対し、素人探偵たちが問い合せを行いますが、本格的な捜査に乗り出すのはポアロです。

バビントンの死の際、参加者の中にいたジムたちは事件の解明を試みますが、次第にポアロも関与し、さまざまな要素が絡み合う事態に発展します。特に、パーティーの前にストレンジが執事に休暇を与えていたことで、非常に重要なポイントが浮かび上がります。事件後、プロの執事であるジョン・エリスが行方をくらませたため、捜査は混乱を極めます。そして、ストレンジと同じくバビントンもニコチン中毒で死亡したことが判明し、背後に潜む真実に迫ることが急務です。

ポアロは島の隠れ家であるカラスの巣でパーティーを開き、そこで過去の出来事やけいれんが再び起こるのかを探ろうとします。さらなる捜査を重ねていく中、ある人物から電報が届き、ストレンジについての新たな情報がもたらされます。ストレンジの療養所の患者、ド・ラッシュブリッジャー夫人が生前ストレンジに関する有力な情報を持っていたため、彼女に会いに行くが、時すでに遅し、夫人はまたしても毒殺されてしまいます。

捜査を進めるうち、ポアロはサー・チャールズが裏で暗躍していた可能性を浮かび上がらせます。彼は実は結婚を隠しており、その妻を精神病院に入院させていたため、離婚できずにエッグとの結婚を望むあまり、周囲にある真実の糸を断ち切らざるを得なかった。しかし、ポアロがその真相に迫ると、チャールズはついに自らの罪を認め、逃げ出す事態となります。物語の最終局面では、ポアロが彼を追うことを選択するのか、また他のキャラクターたちがどのような選択をするのかが描かれ、サスペンスに満ちた結末へと進みます。

この小説は、クリスティの巧妙なストーリー構成とキャラクターの深い描写によって、読者を魅了しています。また、本作はさまざまなメディアに翻案されており、特に1986年の映画化や2010年のテレビドラマにおいても話題を集めました。イギリスの当時の離婚法や個人の心理をテーマにした本作は、推理小説としても文学的にも高く評価されています。

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