三月は深き紅の淵を

『三月は深き紅の淵を』は、1997年に講談社から刊行された恩田陸による小説です。2001年には講談社文庫版も発売されました。

概要

この小説は、四つの章で構成されています。各章は独立した物語でありながら、『三月は深き紅の淵を』という小説に関する物語であるという共通点を持っています。ミステリー、紀行小説、学園小説、小説の構想など、章ごとにジャンルや形式が大きく異なるのが特徴です。

具体的には、以下の四章から構成されています。

1. 第一章 待っている人々
2. 第二章 出雲夜想曲
3. 第三章 虹と雲と鳥と
4. 第四章 回転木馬

作中に登場する架空の小説『三月は深き紅の淵を』もまた、以下の四章から構成されています。

1. 第一章 黒と茶の幻想
2. 第二章 冬の湖
3. 第三章 アイネ・クライネ・ナハトムジーク
4. 第四章 鳩笛

他の作品との関連

第四章『回転木馬』には、後に書かれた恩田陸の長編小説『麦の海に沈む果実』と同名の登場人物である水野理瀬や憂理などが登場します。理瀬の入学、碁石のゲーム、薔薇園の事件など、共通する場面も多く見られます。また、作中小説の『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』には、『麦の海に沈む果実』の登場人物である聖や黎二などが登場するという言及があります。

作中小説『黒と茶の幻想』は、四人の壮年の男女が屋久島と思われる島を訪れ、謎について語り合う物語であり、これは長編『黒と茶の幻想』の概要と共通しています。本作は、小説家が「黒と茶の幻想」という小説（内容は『麦の海に沈む果実』に類似）を書き出す場面で終わります。

巻頭には、ロアルド・ダール作、田村隆一訳の『チョコレート工場の秘密』の一節が引用されています。また、作中には『チョコレート工場の秘密』の導入部分の粗筋が書かれている箇所があります。

関連作品

麦の海に沈む果実
黒と茶の幻想

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