三森幹雄

三森幹雄：旧派俳句を代表する俳人

三森幹雄（みもり みきお）は、文政12年（1830年）に生まれ、明治43年（1910年）に没した、幕末から明治初期にかけての俳人です。11世春秋庵を名乗り、正岡子規によって攻撃された旧派句会を代表する俳人の一人として知られています。

生涯

三森幹雄は、現在の福島県石川町にあたる場所の農家に生まれました。幼名は菊治、本名は三森寛と言います。染物屋で徒弟として働いた後、半田銀山や宮城県岩沼の藍染商人の手代として各地を転々としました。その間、各地の師匠について俳句を学びました。26歳の時に江戸へ出て、志倉西馬に師事しました。

明治維新後、明治政府は国民教化のために教導職を設けることになりました。当初は神官が担う予定でしたが、人手不足から僧侶も任命されることになりました。永平寺住職の環渓が俳諧宗匠を教導職に推薦し、為山、等栽、春湖の三人が教導職に就任しました。この人選に不満を持った三森幹雄は教部省に進達し、試験による選考を求めました。その結果、幹雄自身も教導職に任命されることになりました。教導職訓導となった幹雄は、明倫講社を組織し、明治13年（1880年)には俳誌「俳諧明倫雑誌」を創刊しました。

明治17年（1884年)に教導制度が廃止されると、「神道芭蕉派明倫協会」を設立し、神道の一派として独立しました。独自の教導職資格を発行するなどして会員を増やしました。

正岡子規との関係

正岡子規は学生時代に東北旅行をした際、三森幹雄を訪ね、地方の宗匠への推薦状を書いてもらっています。しかし、実際に訪ねた宗匠の学識に疑問を持った子規は、後に旧派と対立するようになります。

俳壇での活躍

明治26年（1893年）に春秋庵を継いだ三森幹雄は、俳壇での地位をさらに確立しました。明治30年代になっても、都新聞や雑誌「太陽」での俳人の人気投票で上位に名を連ねるなど、その人気は衰えませんでした。

明治41年（1908年)には、春秋庵を長男の三森準一に譲り、天壽老人と号しました。明治43年（1910年）10月17日、82歳で死去しました。

著書

三森幹雄は、俳句に関する著書を多数残しています。

『俳諧自在』
『俳諧名誉談』
『歳時記季寄』
『文學心の種』

参考文献

* 関根林吉「三森幹雄評伝 １～８」俳句 27(4)～(10)(12), 1978.4～11

三森幹雄は、旧派俳句の代表的な俳人として、明治期の俳壇に大きな影響を与えました。その作品や活動は、現代においても研究の対象となっています。

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