三橋順子

三橋順子について

三橋順子（みつはし じゅんこ）は、1955年5月23日生まれの日本の研究者であり、ペンネームを用いて活動しています。戸籍上の性別は男性ですが、自身を性別越境者（トランスジェンダー）と捉え、その当事者としての経験を研究活動に活かしています。専門はジェンダーとセクシュアリティの歴史であり、特に性別越境（トランスジェンダー）の社会・文化史を深く掘り下げています。

研究活動

1995年頃から、自身の経験を踏まえ、講演や執筆活動を開始しました。1999年からは、日本における性別越境者の歴史学的・社会学的研究に着手しています。2000年には中央大学文学部の講師に就任し、日本で最初のトランスジェンダーの大学教員となりました。その後、中央大学社会科学研究所客員研究員や戦後日本〈トランスジェンダー〉社会史研究会幹事を歴任し、2005年にはお茶の水女子大学で日本初の「トランスジェンダー論」の講義を担当しました。2018年現在、都留文科大学、明治大学、関東学院大学、早稲田大学（理工学院）、群馬大学（医学部）で非常勤講師を務めています。

三橋の研究手法は、文献調査・分析による歴史学的なアプローチと、聞き取り調査・フィールドワークなどの社会学的なアプローチを組み合わせたものです。また、自身の性別越境者としての体験を研究に反映させている点が特徴的です。近年では、買売春史や着物文化史にも研究領域を広げており、その研究の幅広さを示しています。

主な業績

三橋の代表的な著書の一つに『女装と日本人』があります。この著作は、現代風俗における独創的な研究として評価され、第19回橋本峰雄賞を受賞しました。この他にも、新宿の性風俗街の歴史を扱った『新宿「性なる街」の歴史地理』や、日本とアジアにおける多様な性を考察した『歴史の中の多様な性ー日本とアジア　変幻するセクシュアリティ』など、多数の著書を執筆しています。

また、論文も多数発表しており、「往還するジェンダーと身体－トランスジェンダーの経験－」や「戦後東京における『男色文化』の歴史地理的変遷」など、ジェンダーやセクシュアリティに関する多様なテーマを取り扱っています。これらの論文は、日本のジェンダー研究において重要な貢献となっています。

研究テーマの多様性

三橋の研究は、単にトランスジェンダーの歴史を掘り下げるだけでなく、買売春史や着物文化史といった分野にも及んでいます。これは、ジェンダーやセクシュアリティが社会や文化の中でどのように形成され、変化してきたのかを総合的に理解しようとする姿勢の表れと言えるでしょう。例えば、着物文化史の研究では、着物がジェンダー表現や自己認識にどのように影響を与えてきたのかを考察しています。また、買売春史の研究では、性産業と社会の関係、性的マイノリティの歴史的背景などを考察しています。

メディア活動と発信

三橋は、X（旧Twitter）などのSNSを通じて、自身の研究成果や意見を発信しています。また、講演会やイベントにも積極的に参加し、社会に対してトランスジェンダーに関する理解を深める活動を行っています。これらの活動を通して、学術的な知見を社会に還元し、ジェンダーやセクシュアリティに関する議論を活発化させることに貢献しています。

社会への影響

三橋順子の研究は、日本のジェンダー研究、特にトランスジェンダー研究において、重要な貢献をしています。当事者としての経験を基盤とした研究は、単なる学術研究を超え、社会における多様な性のあり方を理解するための貴重な視点を提供しています。また、教育現場での活動を通じて、次世代の研究者や学生に大きな影響を与えています。

三橋順子の活動は、ジェンダーやセクシュアリティに関する社会的な議論を深め、よりインクルーシブな社会の実現に貢献していくことが期待されます。

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