三滝橋 (広島市)

三滝橋：歴史と平和の架け橋

広島県広島市を流れる太田川放水路に架かる三滝橋は、単なる道路橋としてだけでなく、広島の歴史、特に原爆投下と深く関わった重要な存在です。

三滝橋は、三瀧寺の参道筋に位置し、古くからこの地に存在していました。かつては、太田川放水路が整備される以前の山手川に架かっていた橋でした。1932年には太田川放水路の工事が決定しましたが、本格的な工事は戦後になってから進められました。

1945年8月6日、広島市への原子爆弾投下という未曽有の災害に見舞われましたが、三滝橋は奇跡的に崩壊を免れました。しかし、その威力は凄まじく、橋を渡っていた人々が爆風で10メートルも吹き飛ばされたという記録が残っています。

爆心地から離れていたとはいえ、三滝橋は被爆の影響を免れませんでした。被爆直後、多くの被爆者が避難先である三瀧寺へと向かうためにこの橋を渡りました。そのため、三滝橋周辺には、やむを得ず臨時救護所が設けられるなど、災害時の避難拠点としての役割も果たしました。

興味深いのは、被爆ピアノとして知られる「明子さんのピアノ」の元所有者に関する逸話です。広島財務局で被爆した元所有者は、逃げ惑う中で三滝橋付近で力尽き、蹲った状態で父親に発見され、翌日亡くなりました。この悲劇的な出来事は、原爆投下の残酷さと、三滝橋が当時の人々にとってどれほど重要な存在だったのかを物語っています。

戦後の1961年、太田川放水路の改修工事に伴い、現在の三滝橋が架けられました。他の橋と比較して細い橋脚が特徴で、その繊細な造形は、地域住民に親しまれています。

東側の河川敷は、憩いの場として整備され、地域住民の生活に彩りを添えています。また、この付近の太田川放水路は汽水域にあたり、多様な魚類が生息しています。そのため、釣り大会なども開催され、自然豊かな環境として親しまれています。

三滝橋は、単なる交通手段としての機能だけでなく、歴史の証人、そして平和への祈りを込めた象徴として、広島市民に大切に受け継がれています。その歴史的背景と周辺環境の豊かな自然は、訪れる人々に深い感動を与えてくれるでしょう。 三滝橋は、広島の歴史と人々の記憶、そして未来への希望を繋ぐ、重要な存在なのです。

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