三田洋

三田 洋：日本の詩人・エッセイスト

三田洋（みた よう、1934年生まれ）は、日本の著名な詩人とエッセイストであり、その作品には抒情的な深みが感じられます。神奈川県横須賀市に生まれ、山口県長門市で育った三田は、若い頃から美術に親しみ、山口県立大津高等学校の美術部では画家の香月泰男に師事しました。この経験が、後の文学活動における彼の感性に影響を与えたと考えられます。

三田は早稲田大学第一文学部を卒業し、卒業論文では宮沢賢治の作品に取り組みました。この頃から彼は、四次元の世界や創作の可能性を探求するようになり、詩に対する情熱を深めていきました。出版社にも勤務し、1970年には自身の第1詩集『青の断片』を刊行。その詩集は彼の名前を広めるきっかけとなり、その後も精力的に創作活動を続けました。

1970年代には、詩の朗読集団である「赤提灯」に参加し、同じ志を持つ詩人たちとの交流が深まりました。特に、諏訪優、吉増剛造、中上哲夫、八木忠栄といった詩人たちとの出会いは、彼の詩作に重要な影響を与えました。この時期に彼は、詩の魅力はその抒情性にあると強く感じるようになり、その考えをもとに多くの詩論を執筆しました。

1980年代以降も、彼は『詩人会議』や『冊』、そして『地球』といった詩誌に参加し、秋谷豊や新川和江といった詩人とも知り合いました。また、書いた詩旨のさらなる評価を受ける中、詩集『回漕船』により第四回壺井繁治賞を受賞しました。

三田は、その活動を通じて、詩の普及や教育にも貢献しています。世田谷区が主催する「詩と作曲の会」の会員としても活動しており、壺井繁治賞や日本詩人クラブ賞の選考委員、さらには国民文化祭の現代詩選者や世田谷文学賞の選考委員を務めるなど、多岐にわたる役割を果たしています。このような活動を通じて、彼は日本の現代詩の発展に寄与してきました。また、日本現代詩人会や日本詩人クラブ、日本文芸家協会などにも所属しており、文学界でのネットワークも広範です。

著作については、詩集や評論集、同人誌など多様な形で展開されています。主な詩集には『青の断片』（1970年）、『回漕船』（1975年）、『一行の宵』（1992年）、『グールドの朝』（1996年）、『新・日本現代詩文庫5　三田洋詩集』（2002年）、『デジタルの少年』（2006年）、『仮面のうしろ』（2013年）、『悲の舞ーあるいはギアの秘めごと』（2018年）があります。これらの作品は、彼の詩的な探求心や幅広いテーマを反映させています。

また、評論集としては『感動の変質』（1993年）、『抒情の世紀』（1998年）、『ポエジーその至福の舞』（2009年）、『非サイエンス詩学のすすめ』（2021年）なども刊行し、詩や文学についての見解を問い直しています。

さらに、2016年5月には同人誌「朝明あさけ」を創刊し、編集人として活動しています。この同人誌には、大石ともみ、北川朱実、佐々木朝子、沢田敏子、房内はるみといった詩人たちが参加しており、三田の追求する文学の幅広さを示しています。

三田洋の作品は、抒情性に根ざした深い感動を与え、多くの読者や文学者に影響を与え続けています。

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