三菱・ディオン

ディオン（Dion）

ディオンは、三菱自動車工業が過去に生産・販売していたミニバンで、特に家族での移動に適した設計がされています。ディオンの登場は、三菱が提案する「SUW」（Smart Utility Wagon）シリーズの第二弾として位置づけられ、より広い空間を提供することを目指しました。

概要

このミニバンは、前作のミラージュディンゴを応用しつつ、全長とホイールベースを延長することで、7人乗車が可能な設計となりました。これにより、以前は提供されていなかった5ナンバーミニバンのニーズに応える形で開発されました。ディオンは、他の同クラスのミニバンと比較しても背が高く、またワンボックスカーと同様に大きなボンネットを持っています。エンジンには全車GDI（ガソリン直噴）を採用し、駆動方式には前輪駆動とフルタイム4WDの選択肢がありました。さらに、運転席周辺のインパネデザインは、ミラージュディンゴと共通のもので、視認性や操作性が考慮されています。

年表

ディオンの歴史は、2000年1月25日に発表されてから始まりました。初期モデルはGDI仕様の2.0Lエンジンを搭載し、トランスミッションは4速ATが独占的に用いられ、駆動方式は当初前輪駆動のみでしたが、同年7月にはフルタイム4WD仕様が追加されました。

2002年にはマイナーチェンジが実施され、ヘッドランプやグリル、ボンネット、リアゲート、前後バンパーのデザインが刷新されました。この変更に伴い、エンジンも4G63型からより新しい4G94型に交換され、さらに1.8Lの4G93型ターボエンジンも新たにラインナップに加わりました。この1.8Lターボエンジンの導入は、ミニバンでは久しぶりの試みとなりました。

2004年にはさらに部分的な改良が施され、1.8Lターボ車に4WDが追加されるなどしましたが、販売は徐々に落ち込み、2006年3月31日をもって販売が終了しました。総生産台数は約65,000台に達しました。

製造工場

ディオンは、岡山県倉敷市にある水島製作所で製造されていました。この工場は、三菱自動車の重要な生産拠点として、多くのモデルが生産されてきました。

車名の由来

「ディオン」という名前は、ギリシア神話の神ディオニソスに由来しています。ディオニソスは、豊穣や喜び、そして祭りの神として知られており、ディオンの多用途な車両特性にもぴったりの命名と言えるでしょう。

結論

ディオンは、多目的に使用できるミニバンとして一定の人気を誇っていました。販売終了後も、同様の5ナンバーミニバンは2011年にデリカD:3によって復活し、再び市場に新たな選択を提供しました。このように、ディオンの存在は三菱自動車におけるミニバン市場の多様性を象徴する重要なモデルであったと言えます。

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