三重用水

三重用水：北勢地方を潤す総合利水事業

三重用水は、鈴鹿山系を源とする水を、三重県北勢地域、特に桑名市などへ供給する水資源機構の総合的な利水事業です。農業用水、水道用水、工業用水を安定的に供給することで、地域社会の発展を支えています。

事業概要

三重用水は、員弁川や木曽川水系の牧田川など、8つの渓流から取水を行っています。取水された水は、中里貯水池や菰野調整池など、5つのダムに一時的に貯水されます。これらのダムは、需要に応じて水を供給する調整機能を果たし、特に渇水時には重要な役割を担います。

幹線水路は、受益地域で最も標高の高い場所を通過するように設計されているため、末端の施設まで自然流下で水を送ることが可能です。これにより、エネルギーコストを抑え、効率的な給水システムを実現しています。

技術的な特徴

三重用水には、高度な技術が数多く採用されています。

中里ダム: アースダムとしては日本最大級の規模を誇り、堤高46.5m、有効貯水容量1600万m³という巨大な貯水能力を有しています。
渓流取水工: 急流に対応するため、チロルII型を主とする特殊な取水工が採用されています。また、国定公園内では、景観に配慮し地下構造物を設けた御幣川取水工が設置されています。
セミクローズドパイプライン: ディスクバルブによる自動調節機能を備えたパイプラインで、安定した流量を維持します。
自動給水栓: 末端のバルブには自動給水栓が採用され、農業用水の効率的な供給を実現しています。

沿革

三重用水事業は、長年にわたる計画と建設を経て、現在の形に至りました。その主な沿革は以下の通りです。

1951年（昭和26年）10月：農林省木曽川水系総合農業水利事務所が調査を開始
1964年（昭和39年）4月：国営三重用水土地改良事業の実施設計に着手
1965年（昭和40年）12月：国営事業として採択
1966年（昭和41年）8月：三重用水土地改良区設立
1971年（昭和46年）3月：農林省から事業継承し、三重用水建設所発足
1972年（昭和47年）3月：中里ダム、幹線水路着工
1977年（昭和52年）3月：中里ダム完成
1980年（昭和55年）3月：宮川調整池完成
1983年（昭和58年）1月：員弁幹線水路着工
1983年（昭和58年）6月：幹線水路中里ダム～宮川ダム間完成
1983年（昭和58年）2月：加佐登調整池完成
1984年（昭和59年）4月：農業用水の暫定通水開始
1986年（昭和61年）4月：多度工業用水の暫定通水開始
1987年（昭和63年）3月：幹線水路全線完成（宮川ダム～弓削分水工）
1989年（平成元年）7月：打上調整池完成
1989年（平成元年）10月：菰野調整池完成
1991年（平成3年）4月：水道用水の暫定通水開始
1993年（平成5年）4月：三重用水管理所発足

関連情報

三重用水は、水資源機構によって管理・運営されています。

水資源機構: 日本の主要な水資源開発・管理を担う独立行政法人です。

外部リンク

独立行政法人水資源機構
* 独立行政法人水資源機構 - 三重用水管理所


三重用水は、地域の生活と産業を支える重要なインフラであり、その維持管理は地域社会にとって不可欠です。

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