上の山遺跡

上の山遺跡の詳細

上の山遺跡（うえのやまいせき）は、神奈川県横浜市都筑区仲町台に位置する歴史的な遺跡です。ここは旧石器時代から古墳時代、奈良・平安時代を経て中世にかけての多様な遺構が見つかっており、港北ニュータウン遺跡群の一部として知られています。

立地

この遺跡は、鶴見川の支流である大熊川が作り出した谷戸に位置しており、標高約40メートルの仲町台の台地から南へ向かう尾根筋があります。その北側には、同じく台地に接続した大熊仲町遺跡が隣接しており、また尾根筋の西側には上台の山遺跡が存在しています。これらの遺跡は、地域全体で古代から中世に至る文化の様相を伝えているのです。

調査の背景

現在の都筑区は、かつては典型的な里山の風景が広がる美しい場所でした。しかし、1965年に発表された港北ニュータウン事業によって、この地域は一大住宅地へと変貌を遂げることとなりました。この大規模な開発により、268の埋蔵文化財包蔵地が確認され、その中でも200以上の遺跡が1970年から1989年にかけて発掘調査されることになりました。上の山遺跡は、その中の一つで、発掘調査は1988年から1989年に行われましたが、現在ではその地域は住宅地と化しています。

調査結果

発掘調査の結果、南向きの尾根筋およびその西側の谷戸内では約16500㎡の広範囲が調査され、さまざまな時代の遺物が発見されました。ここには、旧石器時代のナイフ形石器などが出土する遺物の集中ポイント、縄文時代中期の竪穴建物、さらに古墳時代の古墳群や横穴墓、奈良・平安時代の建物、そして中世の火葬墓地などが含まれています。

古墳群は、5世紀末から6世紀初頭に造られたとされ、円墳や方墳を含む合計4基の古墳が見つかりました。そのほか、道状の溝も確認されており、複数のルートが谷戸から尾根や台地へ昇っていることが明らかになっています。

中世の火葬墓地は特に注目されており、尾根筋の古墳群の近くと斜面地の中腹に位置する二つの場所に存在しています。後者の火葬墓では、40基以上の墓壙が掘られ、五輪塔や板碑が見つかりました。この発見は、14世紀後半から15世紀後半にかけての葬送行為についての貴重な情報を提供しています。

まとめ

上の山遺跡は、横浜市の歴史と文化を理解する上で非常に重要な場所です。多様な遺物が見つかり、各時代の人々の生活や信仰を今に伝える貴重な証拠として、今後もさらなる研究が期待されます。この遺跡は、私たちに先人たちの足跡を感じさせてくれる貴重な財産なのです。

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