上原晋

上原晋（うえはら すすむ、1918年 - 2015年）は、日本のオーディオ業界に多大な貢献をした技術者であり、ラックス株式会社（現在のラックスマン株式会社）の元開発担当常務です。彼は、真空管アンプの設計において、その卓越した技術力と革新的なアイデアで知られています。

生涯

上原晋は1918年、兵庫県宝塚市に生まれました。若き頃から技術への関心が高く、1939年には株式会社錦水堂に入社しました。錦水堂は当時、ラジオなどの電気製品を製造・販売していた企業で、上原はここで技術者としての基礎を築きました。この時期の経験が、後のラックスにおけるアンプ開発に大きく影響を与えたと考えられています。

ラックスでの業績

上原が最も輝いたのは、ラックス株式会社（後のラックスマン）での活躍です。彼は開発担当常務として、数々の名機を生み出しました。特に、1958年に開発されたMA-7Aモノラル真空管アンプは、当時のオーディオ業界に大きな衝撃を与えました。このアンプは、6CA7という真空管を採用し、高圧回路を用いることで、60Wという当時としては非常に高い出力を実現しました。MA-7Aは、そのパワフルなサウンドと、真空管ならではの温かみのある音質で、多くのオーディオファンを魅了しました。このアンプの成功は、ラックスが高級オーディオブランドとしての地位を確立する上で、非常に重要な役割を果たしました。

上原の技術革新は、単に高出力を実現しただけではありません。彼は、音質の向上にも徹底的にこだわり、パーツの選定や回路設計において、常に最高のものを追求しました。その結果、ラックスのアンプは、原音に忠実で、音楽のニュアンスを豊かに表現できるとして、多くのオーディオ評論家や愛好家から高い評価を得ました。

その他の功績

上原は、ラックスマンの技術発展に貢献しただけでなく、日本のオーディオ業界全体の発展にも大きく貢献しました。彼の開発したアンプは、多くのオーディオ技術者に影響を与え、日本のオーディオ技術のレベルを押し上げる原動力となりました。

晩年

上原晋は2015年にその生涯を閉じましたが、彼の技術者としての情熱と、オーディオへの深い愛情は、今もなお多くの人々に語り継がれています。彼が開発した製品は、時代を超えて、その価値を失うことなく、ヴィンテージオーディオとして、今でも多くのファンに愛されています。

まとめ

上原晋は、ラックスマンの発展を支えただけでなく、日本のオーディオ業界の発展にも大きく貢献した偉大な技術者でした。彼の生涯は、技術への情熱と、常に最高のものを追求する姿勢の大切さを教えてくれます。

関連情報

ラックスマン: 上原が長年勤務したオーディオメーカー。数々の名機を生み出しました。
早川斉: ラックスマンの技術者。

外部リンク

ラックスマン株式会社
世界のオーディオ　ラックス (1975年) (世界のオーディオ ハイ・ファイコンポーネントシリーズ〈1〉)
ラックスマンのすべて―オーディオスペシャリスト (別冊ステレオサウンド)　1997/11
ステレオの産業史｜ラックス
旧ラックストランス資料
錦水堂ラヂオブック

もう一度検索