上坂酉蔵

上坂 酉蔵について

上坂 酉蔵（こうさか とりぞう、1888年12月15日 - 1976年4月4日）は、日本の商学界に多大な影響を与えた著名な学者であり、早稲田大学名誉教授として知られています。宮城県気仙沼市で生まれた彼は、商学の研究を深めるため、長い道のりを経て早稲田大学に進学しました。

学歴とキャリア

1914年に早稲田大学高等予科に入学し、翌年には商科に進学しました。彼は、1918年に大学を卒業し、水産加工の実務に従事しながら学業を続けました。この苦学の努力は、29歳での卒業につながりました。その後、増田貿易株式会社に入社し、1925年からは早稲田大学の講師として教壇に立つことになりました。

1926年から1927年にかけての1年間、イギリスとドイツに留学し、貿易と商学の視野を広げました。帰国後、彼は助教授、そして1929年には教授として昇進し、日本の貿易学の発展に寄与しました。1935年には商学博士の学位を取得し、その後も早稲田大学の商科長や商学部長、理事を歴任し、1959年には名誉教授に任命されました。

学問的業績

上坂は、商業学、貿易、商品学などの分野で幅広い研究を行い、日本の商品学会や貿易学会の会長を務めるなど、学界での地位を確立しました。彼の重要な業績としては、「第三商品学」と称する理論があり、これはアメリカ的研究手法とドイツ的研究手法の融合を図るものでした。この構想は、戦後の商業学における重要な思想の一つとなりました。

彼はまた、実務に基づいた多くの教科書や専門書を著わし、商学分野における確固たる知識の拠点を築きました。「貿易慣習」「貿易契約」「新訂貿易実務」などの3部作をはじめ、「貿易経営論」や「商品学概論」、「貿易用語辞典」など、彼の著書は商業学の重要なリソースとして多くの研究者に読まれています。

人物と貢献

上坂酉蔵は、地元宮城県の気仙沼市に深い愛着を持ち、郷土の発展に貢献しました。1947年に設立された気仙沼中学校の校歌の作詞を手掛け、その文化的貢献は今も人々に記憶されています。1972年には旧気仙沼市から名誉市民第1号に選出されるなど、地域社会でも高く評価されました。

死と遺産

1976年4月4日、上坂は87歳で逝去しましたが、彼の研究や理論、著書は現代の商業学に今なお影響を与え続けています。商学の権威としての業績は多岐にわたるものであり、彼の名は日本の商業学の発展に欠かせない存在として長く記憶されることでしょう。

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