上将 (中国人民解放軍)

中国人民解放軍上将

中国人民解放軍上将（ちゅうごくじんみんかいほうぐんじょうしょう、簡体字：中国人民解放军上将）は、中国人民解放軍に設けられた階級の一つであり、現在では事実上最高位の階級として位置づけられています。

制度の歴史的変遷

この階級制度は、その歴史において二度の大きな変遷を経てきました。

旧制度 (1955年～1965年)

1955年から1965年まで施行されていた旧制度においては、上将は大将に次ぐ位置づけで、中将よりも上位の階級でした。この時期は、上将の上に大将が存在していたため、最高位ではありませんでした。

新制度 (1988年以降)

1988年に階級制度が復活して以降の新制度では、当初、上将の上に「一級上将」という階級が設けられました。しかし、一級上将は設置されたものの、実際に誰にも授与されることなく1994年に廃止されました。このため、1994年以降、人民解放軍において上将が事実上最高位の階級となっています。

歴史的な任命と「開国上将」

中国人民解放軍に階級制度が初めて導入されたのは1955年です。1955年2月8日に公布された「中国人民解放軍軍官服役条例」に基づき、同年9月27日には55名もの軍人が一挙に上将の階級に任じられました。その後、追加で任命された者を含め、1965年までに上将の階級にあった合計57名の軍人は、特に「開国上将」として記憶されています。これは、中華人民共和国建国初期に活躍した功臣たちに与えられた栄誉ある階級であったことを示しています。

軍の階級制度は、文化大革命の影響などもあり、1965年6月1日をもって一時的に廃止されました。その後、20年以上の空白期間を経て、1988年7月1日に公布された「中国人民解放軍軍官軍銜条例」により、階級制度が復活しました。同年10月1日に新たな階級が授与されましたが、この際、旧制度で上将であった「開国上将」のうち、ただ一人、洪学智（こうがくち）が再び上将の階級に任じられたことは特筆されます。

主要な職位との関連

1988年の「中国人民解放軍軍官軍銜条例」においては、特定の重要な職位に上将の階級を持つ軍人を充てることが規定されています。具体的には、中国共産党中央軍事委員会の副主席や委員、そして人民解放軍の総参謀長や総政治部主任といった最高幹部の職位に上将を充てることが定められています。また、正大軍区級（現在は軍区が再編されているため、これに相当する戦区レベルの最高職位）の職位には、上将または中将が任じられることになっています。これらの規定は、上将が人民解放軍の中枢を担う高位の指揮官や幹部であることを明確に示しています。

まとめ

中国人民解放軍上将は、度重なる制度変更を経て、現在では事実上最高位の軍事階級としての地位を確立しています。その歴史は、1955年の創設に始まり、「開国上将」と呼ばれる初期の功労者たちによって彩られています。制度の復活後、一級上将の廃止によりその位置づけはさらに高まり、現在は中央軍事委員会の要職や各部門のトップ、主要部隊の司令官などに任じられる、人民解放軍における最重要のポストと緊密に結びついた階級となっています。

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