上山満之進

上山満之進について

上山満之進（かみやま まんのしん、1869年10月31日 - 1938年7月30日）は、日本の官僚であり政治家です。彼は農商務次官や台湾総督、貴族院議員、さらに枢密顧問官など、重要な公職を歴任しました。特に故郷における郷土史研究や図書館設立への貢献から、「防府図書館の父」と称されています。

生い立ちと教育

周防国、現在の山口県防府市江泊村に生まれ、庄屋の家系に育ちました。教育は、周陽学舎、山口中学、山口高等中学を経て、1895年に帝国大学法科大学を卒業し、法律学の専門知識を身に付けます。卒業後は内務省に勤務し、その後様々な公職に就任しました。特に文官高等試験に合格し、青森県参事官に任命されたことで、官僚としてのキャリアが始まりました。過去には山口県の内務部での勤務も経て、多様な経験を積むことができました。

政治経歴

1898年、法制局参事官に就任し、その後もさまざまな職を歴任しました。1908年には農商務省山林局長となり、1912年には熊本県知事に任命されました。1914年には農商務次官に就任し、その後も貴族院に勅選議員として活動しました。彼の政治的な活動は、当時の日本の農業や商業の発展に寄与するものでした。

1926年には第11代台湾総督に就任し、台湾における政策を遂行しましたが、1928年には台中不敬事件により辞任しました。その後は枢密顧問官として活動し、1938年まで公務を続けました。

故郷への貢献

彼の報われない願いは、故郷に図書館を建設することでした。上山は私財を投じて基金を集め、蔵書を寄付するなどの努力をしました。しかし、工事の遅れが影響し、図書館の完成を見ずに1941年に亡くなりました。彼の意志を受け継いだ子息の上山勝と甥の小野幸吉により、防府市立三哲文庫が設立され、さらには防府市立図書館に発展しました。現在ではこの図書館の跡地は公園となり、記念碑が建てられています。

栄典と著作

上山は多くの名誉と栄典を受けており、勲三等瑞宝章や旭日大綬章などの勲章を授与されています。また、彼の著作には『地方制度通』や『立木不動産法通解』などがあり、農業や国民生活に関する洞察を提供しました。

彼の生涯を通して、上山は日本の官僚制度及び社会発展に多大な貢献をし、地域社会の発展にも尽力した、重要な人物であったと言えるでしょう。

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