上州戦争

上州戦争とは

上州戦争（じょうしゅうせんそう）は、群馬県における政治闘争を指す俗称であり、福中戦争とも広く知られています。この戦争は、特に福田赳夫と中曽根康弘の二大政治家の台頭に伴い、選挙区内での熾烈な争いへと展開しました。両者の対立は、選挙区のみならず国政全体にも影響を及ぼし、多くの有権者の注目を集めました。

背景と沿革

上州戦争は、高崎市にゆかりのある福田赳夫と中曽根康弘の因縁から始まります。二人は、同じ衆議院旧群馬3区で選挙戦を繰り広げることとなり、政治の舞台で熾烈な競争を繰り広げました。選挙区には、他にも小渕恵三や山口鶴男という有力な政治家が存在し、まさに群雄割拠の様相を呈していました。結果として、群馬県政は福田派と中曽根派の二つの勢力に分かれ、自民党内部でもこの二派閥が形成されました。

選挙戦の実態

福田と中曽根の選挙戦では、特に有権者へのアプローチが注目され、福田は懐石料理を提供し、中曽根はお洒落な西洋料理を振る舞いました。一方、資金に限りのある小渕は、質素な食事での支援しかできず、比べると対照的でした。こうした状況は、公職選挙法にも抵触する側面を持ちながらも、その当時の政治文化の中で実質的には野放しにされた状況でした。

田中角栄との絡み

上州戦争の中で、福田は1972年の自民党総裁選挙に立候補し、勝利が濃厚と見られました。しかし、中曽根が田中角栄に投票したため、福田は敗北を喫します。その後、福田の故郷では、母親が中曽根に対する強い感情を吐露する姿が報じられ、両者の対立はより深まっていきました。同年12月の衆議院選挙では、福田が大勝し、中曽根も当選を果たしましたが、小渕は得票数が少なく、ぎりぎりで当選を勝ち取りました。

指導者たちの競争

1979年の選挙では、両者の陣営がそれぞれ異なるメッセージを発信し、選挙戦はさらに激化しました。1986年には、中曽根の長男と福田の弟がそれぞれ出馬し、これに伴う混乱が見られました。この選挙でも、福田がトップで当選し、中曽根は2位となりましたが、その後の選挙では福田が引退し、長男が地盤を継ぎました。

小選挙区制導入後の変化

1996年に小選挙区制が導入され、旧群馬3区は4区と5区に分割されます。この変化により、両者の選挙戦略が問われることとなり、候補者調整も行われました。中曽根は出馬を断念し、福田は引き続き力を保ちました。

現代における影響

2003年の衆院選では、中曽根と小泉純一郎の対立が見られ、小泉の政策変更により中曽根が引退を余儀なくされるなど、両者の政治的背後関係は複雑に絡み合っています。また、2006年には、県議会の二派閥が一本化され、長年の対立が終結したことで、両勢力の関係に新たな局面がもたらされることとなりました。このように、上州戦争は単なる個々の選挙戦を超え、群馬県の政治史において極めて重要な役割を果たしています。

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