上村亘

上村 亘 (かみむら わたる)

上村亘は1986年12月10日生まれの日本将棋棋士で、東京都出身です。将棋界でのキャリアは多くの挑戦に満ちており、奨励会からプロ棋士への道のりは実に波乱に満ちたものとなっています。中村修九段の門下生として、日本将棋連盟に所属し、棋士番号288を持ちます。彼は東京都立西高等学校から慶應義塾大学理工学部に進学し、数理科学を学びました。

初期の将棋の道

将棋との出会いは幼少期に遡ります。父親がアマチュア四段であったことから、幼稚園時代に将棋を学び始めます。1998年9月、6級で奨励会に入会しますが、直後に7級に降級。この間、5級昇級までには約2年を要し、18歳の誕生日が近づくころにはようやく初段に到達しました。その後、昇級にはしばらく苦労をし、二段に上がるまでに2年半、さらには三段までの道のりにも3年3ヶ月を要しました。

24歳の時、待望の三段リーグに参加し、4期目となる第51回で見事な成績を上げ、この瞬間にプロ入りを果たしました。プロ入りを果たしたあとも、当初は厳しい状況が続き、第72期C級2組順位戦では3勝7敗という成績に終わりますが、2014年度には5勝5敗に持ち直します。

プロデビュー後の成績

プロデビュー後の2013年度には2桁勝利を達成しましたが、翌年度の第72期順位戦での不運なスタートに苦しむ結果となりました。その後、2015年度には王位戦と王座戦での予選に参加するも、いずれも敗退。ただし、岡崎洋との対戦での勝利で降級を免れます。

2017年度には初の6勝4敗の勝ち越しを記録し、藤井聡太との対局では後手番での勝利を成し遂げました。2018年10月には竜王戦で昇級を果たし、2019年度には王位リーグに初挑戦。しかし、そこでの厳しい戦いの後、年度全体で21勝20敗の成績を残します。2020年度も好調を維持し、棋王戦予選決勝での勝利が光りますが、2021年度は最大の不調に見舞われました。

棋風と人物像

上村は居飛車を愛用し、特に横歩取りが得意とされています。終盤力に秀でており、詰将棋解答選手権でも入賞歴があります。慶應義塾大学出身としては初のプロ棋士であり、名誉と誇りを感じていると述べています。家族も学者や文化人が多く、彼の背景には文系的な素養も伺えます。

将棋界での活動以外にも、SNSやブログを通じてコミュニケーションを大切にし、ファンからの応援にも感謝の言葉を忘れません。普及活動にも積極的で、将棋道場での指導などを行っています。

昇段とここまでの道のり

昇段履歴は1998年から始まり、2004年に初段、2007年には二段に昇進。2010年からは三段リーグに参加し、2012年にプロ入りを果たしました。今後のさらなる成長と活躍に期待が寄せられています。彼の人生は、将棋を通じた挑戦と成長の連続であり、これからもその姿を見守っていきたいです。

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