上村映雄

上村映雄（うえむら てるお）は、1929年2月22日に東京府（現在の東京都中野区）で生まれ、2012年10月11日に生涯を閉じました。彼は、曹洞宗の僧侶としての側面と、児童教育者としての側面を併せ持つ人物でした。

上村は、曹洞宗の寺院である保善寺に生まれ、幼少期から仏教に親しんで育ちました。1951年には駒澤大学文学部仏教学科を卒業し、その後、中野区立桃丘小学校の教諭として教壇に立ちました。教員として経験を積んだ後、鶴見大学女子短期大学部で教鞭を執り、さらに同大学の附属三松幼稚園の園長も務めました。1985年に大学を退職した後は、保善寺の住職として寺院運営に携わる傍ら、学校法人保善寺学園の理事長、ほぜんじ幼稚園の園長も兼任しました。また、社団法人日本仏教保育協会の理事長としても活動し、仏教文化講座を主宰するなど、仏教に基づく児童教育の普及に大きく貢献しました。

上村の教育者としての活動は、数多くの著作にも表れています。主な著書としては、『年中行事演出法 保育を豊かにする』(1975年)、『学級経営12か月 毎日の保育に役立つ』(1978年)、『幼児に聞かせる行事のおはなし』(1981年)などがあります。これらの著書では、幼児教育における行事の重要性や、日々の保育活動に役立つ具体的な方法が示されており、多くの保育関係者から支持を得ています。また、『絵本文庫の作り方』(1983年)では、絵本を通じた幼児教育の可能性を提唱しました。

上村は、仏教の教えを幼児教育に取り入れることにも力を注ぎました。矢野功氏の絵による『母と子の仏教童話』シリーズ(1987年)では、仏教的なテーマを子供にも分かりやすい物語として表現し、多くの読者に感銘を与えました。このシリーズには、『きえないあかり』、『金のハクチョウ』、『サルとお月さま』、『空をとんだカメ』、『ネズミとネコ』などがあります。また、『園行事ひとくち童話 園児に聞かせる3分間のお話』(1995年)や『行事のおはなし』(2000年)では、園での行事の際に子供たちに語るのにふさわしい物語を紹介しています。

上村は、共著や編著も多数手がけており、『幼稚園児の指導をめぐる問題事例 こんなときどうするか』(1974年)、『仏教保育365日』(1977年)、『教育実習 理論と実践事例集』(1982年)、『保育を豊かにする教材・教具 幼児のための新しい総合資料』(1983年)、『子供の心を育てよう 入門仏教保育』(1984年)、『仏教ものしり事典 子どもの疑問に答える』(1986年)、『仏教保育なるほど12か月 仏教保育資料集』(2008年)などが挙げられます。これらの書籍では、仏教保育の理論や実践に関する知識が網羅的にまとめられており、保育現場で働く人々にとって貴重な資料となっています。

上村映雄は、仏教の教えと児童教育を融合させ、子供たちの豊かな成長を支えた人物として、その業績は高く評価されています。

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