上条憲太郎

上条憲太郎について

上条憲太郎（かみじょう けんたろう、1901年 - 1977年）は、日本の範疇でも特に教育界において重要な役割を果たした指導者です。長野県教育長など数々の要職を歴任し、その影響は教育改革の面でも多大でした。彼の生い立ちから晩年までの経歴、そして人物像に迫ります。

生い立ちと教育経歴

上条は長野県東筑摩郡笹賀村で生を受けました。現在では松本市の一部になっているこの地域で育った上条は、松本高等学校（旧制）を経て東京帝国大学文学部に進学しましたが、在学中に満州に渡ります。ここでは南満州鉄道が運営する鞍山の中学校で教諭として教鞭を取り、その後1926年に帰国して復学。美学及び芸術学を専攻し、卒業後は静岡県や千葉県で教職に就きました。

1940年には長野中学校の校長に就任し、さらに1944年には長野青年師範学校の校長となるなど、教育界での地歩を固めていきます。特に、第二次世界大戦後には信濃教育会の会長に就任し、戦後の日本における教育改革に寄与しましたが、第22回衆議院議員総選挙の際には選挙違反の疑いがかかり、わずか5か月で会長職を辞任することとなります。

教育改革と長野方式

上条は1955年に長野県教育長に就任。その職においては、全国的に問題視されていた教員の勤務評定について、いわゆる「長野方式」を導入することを主導しました。この方式は、教育現場における勤務評定の透明性を確保し、教師の育成に寄与するものでした。上条の取り組みは後の教育制度に大きな影響を与えたといえます。

晩年の業績

そして1971年には松本保育専門学校の初代理事長に就任し、翌年にはこれを改組して松本短期大学を開学させました。新しい教育機関の設立は、地域の教育環境に新しい風を吹き込むことになりました。

人物像

上条憲太郎はその豪快な人柄で知られており、「豪放の半面、軽妙しゃだつ」と形容されることもありました。彼の風貌は、見る者に豪快な印象を与えたそうです。また、酒が好きで、ヘビースモーカーでもあったとのことです。彼は信濃教育会の機関誌『信濃教育』に頻繁に寄稿していたものの、本格的な著作は多くはありませんでした。しかし、随筆集『蛙の目玉：随想』（1962年）や『寒庭』（1968年）などが出版されています。さらに、松本市立開明小学校の校歌の作詞も手がけるなど、教育界への貢献は多方面にわたりました。

上条憲太郎の業績とその人間性は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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