上東貴志

上東 貴志

上東 貴志（かみひがし たかし）は、日本の著名な経済学者であり、現在は神戸大学経済経営研究所の教授として教鞭をとっています。彼の研究活動は、主に経済理論およびマクロ経済学の分野に焦点を当てており、国内外の学術界において高い評価を得ています。特に、日本の経済学研究において顕著な貢献をした若手および中堅研究者に贈られる「中原賞」を2010年に受賞するなど、その学術的功績は広く認められています。

経歴

上東教授の学術的なキャリアは、京都大学での学びから始まりました。1989年に同大学を卒業した後、さらに専門性を深めるために海外へ渡ります。アメリカ合衆国のウィスコンシン大学マディソン校大学院に進学し、1990年に修士課程を修了しました。その後も同大学院で研究を続け、1994年に博士課程を修了し、経済学のPh.D.を取得しました。

博士号取得後、上東氏はニューヨーク州立大学ストーニブルック校経済学部で教職に就き、助教授、そして2000年からは准教授として研究・教育に携わりました。アメリカでの経験を積んだ後、2000年に日本の研究機関である神戸大学経済経営研究所に准教授として着任しました。当初は情報経済経営研究部門に所属していましたが、その後、2003年には同研究所の教授に昇任し、現在に至るまで精力的に研究活動を続けています。

研究分野と貢献

上東教授の専門は、経済理論とマクロ経済学です。これらの分野において、理論的な枠組みの構築や、経済現象の解明に関する重要な研究成果を発表しています。特に、彼の研究は、経済学における重要な概念やモデルの理解を深めることに貢献しています。

また、上東教授は、研究者として自身の論文を発表するだけでなく、経済学の発展に不可欠な学術雑誌の質保証においても重要な役割を担っています。経済学分野で世界的に権威のある主要学術雑誌、例えば『Econometrica』や『American Economic Review』などで、投稿された論文の査読（Peer Review）を数多く手掛けています。これは、学術論文の質を評価し、研究コミュニティ全体の研究水準を維持・向上させる上で極めて重要な貢献と言えます。

主な業績

上東教授は多くの学術論文を発表しており、その中でも特に注目されるものの一つに、2001年に権威ある学術誌『Econometrica』に掲載された「Necessity of Transversality Conditions for Infinite Horizon Problems」という論文があります。この論文は、経済学における無限期間モデルの分析において重要な役割を果たす横断性条件（Transversality Condition）の必要性に関する深い理論的考察を行っており、この分野の研究に影響を与えました。

また、学術書の分野でも貢献しており、共編書として『International Trade and Economic Dynamics: Essays in Memory of Koji Shimomura』（Springer, 2008年）があります。この書籍は、国際貿易と経済動学に関する論文集であり、専門分野における知見の普及に寄与しています。

受賞歴

上東教授は、その顕著な研究成果に対して複数の学術賞を受賞しています。

Outstanding Referee Award (Journal of Economic Dynamics and Control, 2006年): 学術雑誌の査読活動における貢献が高く評価され受賞したものです。
中原賞 (日本経済学会, 2010年): 日本経済学会が授与する最も権威ある賞の一つで、経済学の基礎研究において優れた業績を上げた若手または中堅の研究者に贈られます。上東教授の研究がこの賞に値すると認められました。
* 第28回 村尾育英会学術賞 (村尾育英会, 2011年): 村尾育英会によって授与される学術賞で、学術研究における顕著な貢献が評価され受賞しました。

これらの受賞は、上東教授の研究活動が国内外で高く評価されていることを示しています。

神戸大学経済経営研究所のウェブサイトには、上東教授の研究者紹介ページがあり、最新の研究情報などが掲載されています。

上東貴志教授は、経済理論およびマクロ経済学の分野における日本を代表する研究者の一人として、教育、研究、そして学術コミュニティへの貢献を通じて、多大な影響を与え続けています。

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