上東輝夫

上東輝夫（かみひがし てるお）は、1934年生まれの日本の元外交官であり、現在は名古屋商科大学の名誉教授を務めています。彼は政治学博士（Ph.D.）の学位を持ち、外交官としての経験と研究者としての知見を併せ持っています。

学歴と初期のキャリア

上東氏は、大阪外国語大学（現在の大阪大学外国語学部）のタイ語学科を卒業しました。その後、カナダのノヴァ国際大学で政治学の博士号を取得し、学術的な基盤を築きました。1958年には外務省に入省し、外交官としてのキャリアをスタートさせました。

外交官としての活動

外務省では、ラオス公使、コタキナバル総領事など、重要な役職を歴任しました。これらの経験を通じて、国際政治や外交の実務に深く関わりました。特に、東南アジア地域における外交活動に力を注ぎ、日本と各国の友好関係の構築に貢献しました。

大学教授としての活動

1998年3月に外務省を退官した後、同年4月に名古屋商科大学の教授に就任しました。大学では、国際関係や地域研究に関する科目を担当し、後進の育成に尽力しました。2007年3月に名古屋商科大学を辞職しましたが、その後も名誉教授として大学の活動を支え続けました。

その他の役職

上東氏は、名古屋商科大学名誉教授の他に、社団法人日本マレーシア協会の監事、サバ州観光振興公社の顧問、NPO法人「緑の地球プロジェクト」の副代表など、多岐にわたる役職を兼務しました。これらの活動を通じて、地域社会や国際社会に貢献しました。特に、マレーシアとの交流に力を入れ、両国間の友好関係の深化に貢献しました。

著書と研究活動

上東氏は、研究者としても精力的に活動し、多数の著書を執筆しています。著書には、『タイ王国－民族の伝統と外交の歴史』（1981年）、『タイ社会を見る目－伝統と変容』（1982年）、『北タイの山岳民族』（1987年）、『ラオスの歴史』（1990年）、『現代ラオス概説』（1991年）、『東マレイシア概説』（1998年）など、東南アジア地域の歴史、文化、社会に関する研究書が多数あります。

また、『東マレーシアの歴史に映る日本人の光と影』（2004年）では、歴史的な視点から日本とマレーシアの関係を考察しています。さらに、『（小説）果てしなき夢を追い続けて　宮崎出身外交官の回想』（2007年）、『（小説）時空の墓碑銘』（2008年）、『（小説）ツルという女』（2009年）など、小説も執筆しており、多才な一面を垣間見ることができます。

上東氏は、サラワクと日本人－マレーシア・サラワク州と日本人の交流史の編集企画にも携わりました。

叙勲

上東氏は、その功績が認められ、従四位、瑞宝小綬章（2008年春の叙勲）を受章しました。さらに、マレーシア勲三等、オランダ勲三等、タイ勲三等など、各国の勲章も受章しており、国際的な評価も高いことがわかります。

上東輝夫氏は、外交官、大学教授、研究者として、国際社会や学術界に多大な貢献をしてきました。彼の業績は、今後の日本と東南アジア地域との関係を考える上で、重要な示唆を与えてくれるでしょう。

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