上耳介筋

上耳介筋（じょうじかいきん）

上耳介筋は、人間の頭部に存在する筋肉であり、耳介（一般的に言う耳）の周囲に位置する耳介筋群に属しています。具体的には、浅頭筋という頭部の浅層に位置する筋肉の一種であり、皮筋として知られています。

起始と停止

上耳介筋は、以下の部位を起始および停止としています。

起始: 側頭筋膜および帽状腱膜
停止: 耳介根部（耳介内側面上部）

これらの部位を連結することで、上耳介筋は耳介の動きに直接的な影響を与えます。

作用

上耳介筋の主な作用は、耳を上方に引き上げることです。しかし、人間の場合は、他の動物と比較して耳を動かす能力が退化しているため、上耳介筋の作用も限定的です。意識的に耳を動かすことができる人もいますが、多くの場合は無意識的な、またはわずかな動きにとどまります。

神経支配

上耳介筋は、顔面神経の後耳介枝および側頭枝によって支配されています。顔面神経は、顔の表情筋を支配する主要な神経であり、上耳介筋の運動機能もこの神経によって制御されています。

解剖学的詳細

上耳介筋は、耳介筋の中でも最も大きく、位置的にも上方に存在します。その形状は薄く、扇形をしています。筋肉の起始部は比較的広く、側頭部の広範囲にわたる筋膜や腱膜から起こり、耳介に向かって収束していきます。停止部は耳介の軟骨に付着し、耳介を上方に引き上げる力を加えます。

臨床的意義

通常、上耳介筋は臨床的に問題となることは稀です。しかし、顔面神経麻痺などの疾患により顔面神経の機能が損なわれた場合、上耳介筋の動きも影響を受けることがあります。また、美容整形手術において、耳介の位置や形状を調整する際に、上耳介筋が考慮されることがあります。

その他の情報

上耳介筋は、進化の過程でその機能が退化したと考えられています。動物の中には、耳を自由に動かして音の方向を特定したり、感情を表現したりするものがいますが、人間の場合は、このような機能はほとんど失われています。しかし、上耳介筋は、人間の祖先が持っていた耳を動かす能力の名残として、現代にも存在していると考えられます。

関連項目

顔
解剖学
口腔解剖学
人間の筋肉の一覧

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